2015-01-01から1年間の記事一覧

2015年私的書籍10

2015年私的書籍10。 今年は、遊びが少なかった。 1:『下層化する女性たち 労働と家庭からの排除と貧困』小杉礼子・宮本みち子等(勁草書房) 下層化する女性たち: 労働と家庭からの排除と貧困 作者: 小杉礼子,宮本みち子 出版社/メーカー: 勁草書房 発売日:…

耽典籍:迷子の記録の、読書録。『恋読』小橋めぐみ(角川書店)

同い年の女優さんが、本についてこんなに繊細でしなやかな文章、匂いのある文章を書いていたのかと、嬉しくなる。 本、とくに物語を読むときは、三つの変化がると思う。 まず、本を読む前の変化。人は、しかるべき何かがあってその本に出合うのだと思う。読…

耽典籍:チェルノブイリの文学は、涙が、切なる祈りと原子力の風に乾いて消える。『チェルノブイリの祈り』スベトラーナ・アレクシェービッチ(岩波現代文庫)

問う。これは文学か。 答う。2015年ノーベル文学賞受賞者スベトラーナ・アレクシェービッチによる著作である。文学として読んで差し支えない。 再び問う。文学であれば、人間の普遍的なテーマについて物語るもの。チェルノブイリという災厄の下に隠され忘れ…

耽典籍:「健康格差」と「援助」と、自助のトンネル。 『大脱出 健康、お金、格差の起源』アンガス・ディートン(みすず書房)

今年一番読むのに時間がかかった本は、2015年ノーベル経済学賞受賞者アンガス・ディートンの『大脱出』だった。 『大脱出 健康、お金、格差の起源』アンガス・ディートン(みすず書房)。 大脱出――健康、お金、格差の起原 作者: アンガス・ディートン,松本裕…

耽典籍:現地に行って、現地の人たちと一緒に産業を作る。『中国が喰いモノにするアフリカを日本が救う』ムウェテ・ムルアカ(講談社α新書)

メロンパンフェスティバルに関わっているおかげで、コンゴについて、アフリカについて学ばせてもらい、考えることも多い。 先日のMTGで、コンゴ出身の有名人って誰かな・・という話題になり、ムルアカさんだ!あの鈴木宗男の秘書の!と話していた矢先の出版…

耽典籍:プラグマティックな遅攻。『鄧小平』エズラ・F・ヴォーゲル(講談社現代新書)

鄧小平が好き、というと、どういう印象を持たれるのだろうか。 天安門のことがある。最近の日中関係に思うこと、国際情勢下の中国の振舞いに思うこと、観光客に思うことがある人もいるだろう。 でも僕は鄧小平は好き。冷戦の終焉期、中国というコントロール…

耽典籍:クリスマス、他者と出会いに周辺に行き、傷つくということ。 『教皇フランシスコ いつくしみの教会』教皇フランシスコ(明石書店)

クリスマスです。 教皇フランシスコによる説教集。 僕はキリスト教徒ではないけれど、それゆえにローマ教皇が今の世をどう捉え、教徒に向けて、広く社会に向けて、さらに未来に向けて、何を訴えかけているのかを知りたかった。 『教皇フランシスコ いつくし…

仕事納めが、いっぱいあるのだ

今日のETIC.SUSANOOのプレデモデイで、年内のEDAYAとしての活動は終了。 MTGや資料作りなど細々とした仕事はあり続けるけど、一応は仕事納めです。代表もフィリピンで原稿書きで缶詰になってるし。。 昨日はメロンパンフェスティバルのMTG。アドバイザリー…

耽典籍:いろいろな理由で周縁ができ、いろいろな人生が過ぎていく。『青線 売春の記憶を刻む旅』八木澤高明(スコラマガジン)

歌舞伎町という歓楽街を、周縁とよんでいいものか。 歌舞伎町には欲望が集積した光芒がある。そこからこぼれ出た残光が、さらに周縁の窪地に溜まり澱む。世紀末の新大久保は、その澱みだった。 周縁の、周縁。 花魁のように飾られた風俗やキャバクラがある歌…

徒然妄念:Zガンダム最終巻に癒される話

心や体が疲れると、Zガンダムを見ちゃう。考え事をしたい時も。 DVDでは全13巻だけど、その折々の心身状態によって何巻を見るかが変わる。処方箋みたいに。 考え事をしたい時は10巻、とか。 というわけで、チャレンジが一段落して発熱して部屋でひとり膝を抱…

TEDxSaku無事終了(感謝)

TEDxSakuが無事に終わりました。 プレゼンの出番が何故かトリだったので、ず~っと手汗かきっぱなしで心休まる間もない・・みたいな感じだったのですが、、かなり楽しく話しをすることができました。 (ちなみにプレゼンタイトルは「ハイブリッドキャリアの…

ロボットと一緒に働いてみて、2020年になくなる仕事と「失業なき労働移動」について

「日本の人事部」HRカンファレンスは、3日間で8,000人以上が来場する日本最大の人事・HRイベント、である。これからの人事について、人が働くということについて、100程の講演があって、人と組織の新しい可能性が話される。 ・・・のだけれど、これから人と…

耽典籍:「当たり前」のリデザインがHRアワード企業人事最優秀賞。『当たり前の経営 常識を覆したSCSKのマネジメント』野田稔先生(ダイヤモンド社)

「日本の人事部」によるHRアワード、企業人事部門最優秀賞はSCSK 株式会社さんの「残業時間の削減、年休取得推進に全社一丸で取組む『スマートワークチャレンジ』」でした。 hr-award.jp SCSKさんは、運営している「日本の人事リーダー会」でもお世話になっ…

舞台「攻殻機動隊ARISE」。【電脳や義体という、ひと眠りすれば来る未来と、テロや難民という、ひと眠りしても去らぬ現実と】

「攻殻機動隊ARISE」の舞台を見てきた。 kokaku-a-stage.jp こんな日に、テロや難民という台詞が飛び交い、銃声が響く舞台を見るのもまた一興。 よく表現したものだと感心する舞台で、オープニング風の開幕はかなりテンション上がるし、3Dも交えた光学迷彩の…

耽典籍:「接点を増やしながら接触を失っていく」時代の接点型・接触型ビジネスのスケールについてと、非身体化。『人を動かす2』D・カーネギー協会(創元社)

「過去のこの日」によれば、3年前の11月11日は当時新刊の『人を動かす2』を読んでいた、、らしい。 「デジタル時代の人間関係の原則」という副題の通り、20世紀初頭の著作である『人を動かす』を現代に改編した二番煎じの本だけど、D.カーネギー協会がそれ…

耽典籍:空海のハイブリッドキャリアと、物差しで測れぬものの尊さ。『空海』高村薫(新潮社)

やはり空海なのか、と思った。 まだ僕には、空海はわからない、とも思った。 『空海』高村薫(新潮社)。 空海 作者: 高村薫 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2015/09/30 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る 司馬遼太郎晩年の著『空海の風…

「出現する未来」から導く、性暴力被害者や自殺念慮者へのアウトリーチ。と、ニート・ひきこもりへのアウトリーチ。

リスティング広告を利用して自殺リスクの高い方にアプローチする「夜回り2.0」を行うNPO法人OVAの伊藤さんが、その仕組みを性暴力被害者の方への支援のアプローチにも広げる、と聞いたとき、嬉しかった。 性暴力被害者の方に寄り添うためにも、意味の、価値…

徒然妄念:お部屋を宇宙船にする話

時には愚かな話。 寒くなってくると、部屋を温かくしたくなる。 僕の部屋は1階なので、地面から、足元から冷える。玄関外の廊下からも冷えるし、ガラス戸の外の庭からも冷える。要は、部屋が寒い。でも、暖房器具を全開にすると光熱費が大変なことになってし…

耽典籍:フィリピンの文化とジャパニーズ・フィリピノ・チルドレン(JFC)、そして誰もがマイノリティな社会。『日本とフィリピンを生きる子供たち』野口和恵(あけび書房)

嫌なことを、わざと書く。 ジャパニーズ・フィリピノ・チルドレン(JFC)に付きまとうのは、いわゆる「じゃぱゆきさん」の子というイメージで、さらに直言するとフィリピンパブのホステスが売春まがいをして出来た子、というイメージではないか。世間の潜在…

徒然妄念:ハロウィンと、「ええじゃないか」と、ドン・キホーテと。

徒然に。。 昨年はハロウィンについて、こんなことを考えていた。 『ハロウィンであれだけ仮装した人が街へ出たことについて。 社会への閉塞感とそれを解決しようにもできないという諦念と逃避の表れとして、死に瀕したもの達の姿に擬態して集団化した「ええ…

耽典籍:戯言だが、女性活躍推進策で風俗と福祉の連携強化を図ればどうか。『女子大生風俗嬢』中村淳彦(朝日新書)

元・女子大生風俗嬢は、何人か知り合いにいる。現・女子大生風俗嬢は、誰かいたっけか。女子大生キャバクラ嬢は現&元ともに知人にいる。 『女子大生風俗嬢』中村淳彦(朝日新書)。 女子大生風俗嬢 若者貧困大国・日本のリアル (朝日新書) 作者: 中村淳彦 …

廉恥とエシカル

廉恥は、これからのビジネスに、暮らしに、社会に、ますます必須の意識ではないかと思う。 エコやフェアトレード、エシカルなども、廉恥の思考といえよう。 「私」と「世界」はつながっているので、我利我利で大地を汚すことを恥じる。自室をゴミだらけにす…

耽典籍:「女性活躍推進」は「女性の貧困」をどう語るか。『下層化する女性たち 労働と家庭からの排除と貧困』小杉礼子・宮本みち子等(勁草書房)

ノーベル文学賞が発表される頃になると、自選「今年読んだ本ランキング」の整理が始まる。結構な冊数を読んでいるし、友人の本もあるので順位付けは迷うが、1位は意外とスコンと決まる。今年はこの本が1位。 「女性活躍推進」は、「女性の貧困化」にアプロー…

国際ガールズデーに。

10月11日は国際ガールズデーだった。 一昨年、昨年と、具体的なアクションに参加をしていたのだけど、今年は特に何もなく過ごしてしまった・・。 が、まあ日々の活動が国際ガールズデーの目指すものにつながっているので、まぁいいかな、なんて。 hiramelonp…

耽典籍:育休世代マッチョ系女子を人的資源として活用できるのはどこか。『「育休世代」のジレンマ 女性活用はなぜ失敗するのか?』中野円佳(光文社新書)

Warisの田中美和さんが主催陣となり、中野円佳さんがご講演・モデレータなら行かないと、と「独立して見つけた私らしいベストバランス」というイベントを聞いてきました。 中野さんの、『「育休世代」のジレンマ』刊行から役1年、さらに進んだ考察をうかがえ…

耽典籍:下の句はいらない。『幕末維新の漢詩』林田慎之助(筑摩選書)

EDAYAの山下さんが高杉晋作の小説を読んだそうで、辞世の句に感銘を受けていたが、あの野村望東尼がくっつけた下の句は蛇足の最たるものだと思うのだ。 時代の枠を外し、混沌を生む革命家であった高杉晋作の辞世は、宙ぶらりんに人を投げ出す。下の句はその…

耽典籍:「働かない」女性を管理職に。『輝く女性のための女性活躍推進ハンドブック』清水レナさん(ディスカヴァー・トゥエンティワン)

輝く会社のための 女性活躍推進ハンドブック 作者: 清水レナ 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン 発売日: 2015/06/18 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (1件) を見る 「女性活躍」という言葉からは、人により思い描く…

「農」に拠らない「食」のエシカル。世界食糧デーに。

ある時ふと、「食」に興味はないな、と思った。 管理栄養士の団体と「食文化シリーズ」として、各国の料理を食べながらその国で活動する人の話を聞くイベントを続けたりしていたので、実は自分はあんまり「食」に興味がない、と気づいたときには我ながら驚い…

耽典籍:「送り直しの物語」。『私の人生の春の日』

カム・ウソン(韓国のおっさん俳優)が出ているドラマ『恋愛時代』が好き。 『恋愛時代』は自殺した野沢尚の小説で、先ごろ日本でもドラマ化されたが、韓国版のほうがずっとよかった。原作よりもよかった。いろいろなものと折り合いをつけながらも、大切なも…

2030、私たちはどう「働かない」か

【2030、私たちはどう「働かない」か】 「働かない」を見直すことは、新しい「働き方」や「生き方」を考えること。 そんな想いから開催した、【2030、私たちはどう「働かない」か】。 新しい「働かない」とは?という答えのない問いに、みなさんと一緒に取り…