2015-01-01から1年間の記事一覧

耽典籍:生態系のため鹿を撃つ、文化のため少数民族に腰ミノを強いる。『けもの道の歩き方 猟師が見つける日本の自然』千松信也(リトルモア)

長野県は佐久平でうかがった鹿の害の話しが示唆深く、ずっと考えている。 鹿害は、鹿が増えて若芽を食べてしまい樹木が根付かず土砂崩れのもとになったり、畑に侵入して作物を食べつくしたり、というものらしい。オオカミがいなくなった、住家や道路が近くな…

10月の登壇&イベント:EDAYAの販売から、新しい「働かない」や女性活躍促進、メロンパンまで・・・。

10月は結構な数の登壇やイベントがあります。 本業である人事・HRの、いわゆる一枚目の名刺での登壇もあり、レアです。そしてEDAYAでも、大きなイベントを予定しています。「『エシカル男子の会』をつくる会」としての、ワークスタイルのイベントも、メロン…

耽典籍:生まれ変わるなら何がいい?『輪廻転生 〈私〉をつなぐ生まれ変わりの物語』竹倉史人(講談社現代新書)

中学校に入学したとき、剣道部に入部したかった。電話で祖母に話すと、「剣道は危ないからダメ」と言われた。命にかかわるから、絶対ダメと。 剣道部に入部し損ねた僕は、友人の誘いでワンダーフォーゲル部に入った。登山をする部活で、冬山にも登る。遭難も…

耽典籍:過去・未来の認識から、綱吉評価、切腹自殺まで、ソマリランドと室町の比較文化。『世界の辺境とハードボイルド室町時代』高野秀行・清水克行(集英社インターナショナル)

まず題名がスゴい。 現在ソマリランド・辺境と、中世室町・江戸の日本の共通項から、なにかを浮かび上がらせる瞠目に値する一冊。 『世界の辺境とハードボイルド室町時代』高野秀行・清水克行(集英社インターナショナル)。 世界の辺境とハードボイルド室町…

耽典籍:性→家族制度→国家体制→思想信条という構造なら、セックスは国家を転覆するか。『服従』ミシェル・ウエルベック(河出書房新社)

ミシェル・ウエルベックは『素粒子』しか読んでない。そして本書の通奏低音となっているユイスマンスは、『さかしま』すら読んだことない。キーとなる『O嬢の物語』は読んだことがあるが、古臭い官能小説だと思った。 フランスにイスラム政権が誕生するスト…

耽典籍:無縁・公界・Identityからエチカのスピノザまで、侮れない本。『ありのままの私』安冨歩(ぴあ)

『ありのままの私』安冨歩(ぴあ)。 ありのままの私 作者: 安冨歩 出版社/メーカー: ぴあ 発売日: 2015/07/30 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る いくつかのインタビュー記事を読んで、ちゃんと著書も読みたくなった。「男装をやめた東大教授」…

耽典籍:彫師の技術が生産の鍵を握る、浮世絵という製品について。『春画入門』車浮代(文春新書)

永青文庫で「春画展」が行われるのに合わせて出版された本ながら、なかなか内容がいい。春画というより、浮世絵がどういう仕組みで作られて流通されていたかや、絵師の特徴について紹介されている。 『春画入門』車浮代(文春新書)。 books.bunshun.jp 版元…

耽典籍:機械人間とAIが作る組織の可能性?『nature 科学 真相の知』竹内薫監修(実業之日本社)

せめて22世紀のことを考えないと、仕事をしていることにはならない。 テレポート、不死、AI、星間交流と、多くのことが当たり前になる中で、人と社会のかかわり方はどう変化していくのだろう。 『nature 科学 真相の知』竹内薫監修(実業之日本社)。 nature…

耽典籍:モスラの小さな歌声に耳を傾けぬまま、ゴジラを美化し咆哮を代弁することは。 『忘れられた島々 「南洋群島」の現代史』井上亮(平凡社新書

ゴジラが太平洋戦争で南洋に没した日本兵の亡霊なのだとしたら、モスラは戦争の舞台として踏みにじられた南洋群島の人々の霊なのだろうか。 「ビキニ事件で日本人の被害にしか目を向けないなら、同胞の玉砕・集団自決だけで戦争の悲惨さを語り、島民の犠牲を…

耽典籍:レイチェル・カーソンとエシカル。 『レイチェル・カーソンはこう考えた』多田満(ちくまプリマー新書)

エシカルとかソーシャルデザインとかに関わっていると、読んでて然るべきでしょうと思われるレイチェル・カーソンなんだけど、不勉強ながら『沈黙の春』すら読んでいない・・。ので、アンチョコ代わりに。 『レイチェル・カーソンはこう考えた』多田満(ちく…

茨城の地名の、潮来とか水海道とかはまんま災害だろうと・・。あと稲葉村の水害が心配。

joso.vc 茨城は産まれただけの地、と言ってはいるが、本家も墓もあるし、祖父母と遊んだ野山もあるし、郷土愛はある。東日本大震災の被災はあったが、人が暮らしやすい土地だと思う。ものの、水郷と言われ水害はある。水海道とか潮来とか、地名がそのまんま…

耽典籍:東大女子の章はなくてちょっと残念。『早稲女、女、男』柚木麻子(祥伝社文庫)

2012年に単行本が出たとき、ちょうど早稲女から、早稲女が早稲女として見られることのあれこれについての話を聞かされたので、ネタに買おうかな、、と思ったがパスしていた。 文庫本になったので購入。 『早稲女、女、男』柚木麻子(祥伝社文庫)。 早稲女、…

耽典籍:好きな画家が生命の残滓で描いた一枚は面白くなかった。『「絶筆」で人間を読む 画家は最後に何を描いたか』中野京子(NHK出版新書)

魂を削らぬものに価値はない、ような気がしていて。 言い換えれば、生命と引き換えのものこそ美しいと思う。芸術でも、仕事でも、人生でも。 しかしこれは、僕が魂や生命を有限のものと捉えている証左だろうか。無限であれば削れないはずだ。 魂や生命を有限…

徒然妄念:「世界自殺予防デー」に。

9月10日は「世界自殺予防デー」(WHO)で、9月10日~16日は「自殺予防週間」とのこと。 ということで、NHK「首都圏ネットワーク」(18時10分~19時)にNPO法人OVAの伊藤次郎さんがVTR出演するかも、だそうです。 r-lib.com 残念ながら時間的に見られな…

耽典籍:「この本は、こんなにも前に今の社会を言い表していたね」と、いつ言うことになるのだろうか。『出現する未来から導く』オットー・シャーマー(英治出版)

この夏の大著。 『U理論』のオットー・シャーマーの待望の新刊で、先行発売当日に買いに走り読みふけった。が、何となく間をおいて今感想。 出現する未来から導く――U理論で自己と組織、社会のシステムを変革する 作者: C オットーシャーマー,カトリンカウフ…

コオロギ問題、難民、アニマルウェルフェア。多様性のある社会。

事件が起こったのは2日前の深夜のことである。 秋といえば、スズムシ、マツムシなど虫の鳴き声が心地よい。が、寝ていて耳元でやたら大きな鳴き声が聞こえる。目蓋をあけると、枕脇に何かいた。。 こういう時は、Gかと思う。が、鳴き声と形状から我が部屋に…

【クラウドファンディング達成感謝】山下女史の「がんばります」には「がんば(って稲葉を鞭打ち)ます」の意味もある

EDAYAのクラウドファンディング、達成しました。 ご支援くださった180名をこえる方々はもちろん、出資はできなかったけど応援したよ!という方々も、本当にありがとうございます。 クラウドファンディングを見守ってくれた皆さんは、ゆるやかなコミュニティ…

【クラウドファンディング挑戦中!】EDAYAの秘密(?)

僕がプロボノとして活動しているEDAYA(エダヤ)。 エシカルアクセサリーを軸として、フィリピン北ルソン島の少数民族カリンガの伝統文化を継承していくコミュニティデザインプロジェクトです。 ただ今クラウドファンディングに挑戦しており、今月末までとい…

耽典籍:不倫は職場環境の問題~ポリアモリーまで。『はじめての不倫学 「社会問題」として考える』坂爪真吾さん(光文社新書)

坂爪真吾さんは、やっぱり恐ろしい人だと思った。いやむしろ、悪い人、というべきか(褒めてます。。)。 『はじめての不倫学 「社会問題」として考える』坂爪真吾さん(光文社新書)。 はじめての不倫学 「社会問題」として考える (光文社新書) 作者: 坂爪…

耽典籍:我々がAIではないか?コンテンポラリーダンス「エデン」から。『人工知能』ジェイムズ・バラッド(ダイヤモンド社) 

踊る広報こと、柴田菜々子さんのダンス「エデン」を見てきた。実にイメージ豊かな舞台で、コンテンポラリーダンスや舞踏を見るのは久しぶりながら面白かった。 「エデン」という題名から想起されるものも多かった。ふと考えていたのは、人工知能・AIのこと。…

耽典籍:友達がリストカットしているんだけど、どうしたらいいの? 『マンガでわかるオトコの子の「性」』染谷明日香(合同出版)。

『マンガでわかるオトコの子の「性」』は、Pilconさんのイベントで買って、染谷明日香さんにサインをもらったんだけど、前半~LGBTの章までをざっとと、村瀬幸浩先生の監修文を読んで、積ん読になっていた(スミマセン)。 マンガでわかるオトコの子の「性 …

EDAYAがH.P.FRANCEさんに登場!(クラウドファンディングもよろしくね。。)

プロボノとして関わる、エシカルブランド/コミュニティデザインプロジェクト・EDAYAのアクセサリーが、H.P.FRANCEさんのECサイト(H.P.F,Mall)に登場。 H.P.F, MALL | アッシュ・ペー・フランス公式オンラインストア www.hpfmall.com これは嬉しい。 商品…

耽典籍:下衆くたっていいんだもん、西武なら。『「西武」堤一族支配の崩壊』広岡友紀(さくら舎)

下衆い。 でも自称セゾンの末裔などといっている身からすると、その腐臭にも憧憬を感じてしまう。 『「西武」堤一族支配の崩壊』広岡友紀(さくら舎)。 「西武」堤一族支配の崩壊 ?真実はこうだった! 作者: 広岡友紀 出版社/メーカー: さくら舎 発売日: 20…

稲葉、稲葉村行ってきたってよ。

そんなわけで、夏休みは稲葉村に行っていた。 合併により、栃木県下都賀群壬生町上稲葉/下稲葉という。栃木市や小山市、鹿沼市に隣接している。小山評定で有名な思川と、黒川という川に挟まれ、両川が合流する三角地帯にある。 名前の通り、父方・稲葉家の…

耽典籍:日本人の身体観について。 『耳鼻削ぎの日本史』清水克行(洋泉社)

『耳鼻削ぎの日本史』清水克行(洋泉社)。 耳鼻削ぎの日本史 (歴史新書y) 作者: 清水克行 出版社/メーカー: 洋泉社 発売日: 2015/06/04 メディア: 新書 この商品を含むブログ (3件) を見る その1:身体論は、大学生のころ流行っていて、授業で舞踏やコンテ…

耽典籍:戦後70年とは、誰にとっての70年なのか。『イラン毒ガス被害者とともに』津谷静子(原書房)

イラン・イラク戦争では、毒ガスが用いられたと聞く。その後も、クルド人に向けて毒ガスが使われたという報道を見たことがある。 いや過去形ではなく、今でもどこかで毒ガスを使用して「戦争」と呼ばれる行為が行われているかもしれない。毒ガスは人間の道具…

耽典籍:そうかハイブリッドキャリアは「H型人材」といえばいいか!『21世紀のビジネスにデザイン思考が必要な理由』佐宗邦威(クロスメディア・パブリッシング)

「働く」と「働かせる」のリ・デザインとかいって講演やワークショップをしたり、事業企画なんかしている者(僕だけど)には嬉しい、実践の友となる一冊。 『21世紀のビジネスにデザイン思考が必要な理由』佐宗邦威(クロスメディア・パブリッシング)。 21…

メロンパンフェスティバル1周年。牧野朋代と、いう女。

8月9日というのは例年イベントに駆け回る日のようで、昨年はメロンパンフェスティバルを開催していたのだ。 ついでガーナフェスにも行き、さらに蕎麦屋司庵にて学生落語を聞くという、、目まぐるしい1日だった。一昨年はというと、EDAYAのパーティーに出てい…

パラレルキャリア講座:スパイダーマンと、仮面ライダードライブと、釣りバカ浜ちゃんと。

パラレルキャリア講座『自分らしく働く、パラレルキャリアという選択』でお話をしてきました。 参加者の方から、それぞれの働き方の現状とこれからへの模索の声も聴けて、参考になることも沢山。パラレルキャリアのイベントに登壇すると、みなさんの関心の高…

耽転籍:怖い本 原民喜戦後全小説 (講談社文芸文庫)

怖い本、というものがある。 怖すぎて読めず、本棚に置いておくだけの本。それが、原民喜の『夏の花・心願の国』(新潮文庫)だった。 原民喜戦後全小説 (講談社文芸文庫) 作者: 原民喜 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2015/06/11 メディア: 文庫 この商品…