耽典籍

耽典籍:性→家族制度→国家体制→思想信条という構造なら、セックスは国家を転覆するか。『服従』ミシェル・ウエルベック(河出書房新社)

ミシェル・ウエルベックは『素粒子』しか読んでない。そして本書の通奏低音となっているユイスマンスは、『さかしま』すら読んだことない。キーとなる『O嬢の物語』は読んだことがあるが、古臭い官能小説だと思った。 フランスにイスラム政権が誕生するスト…

耽典籍:無縁・公界・Identityからエチカのスピノザまで、侮れない本。『ありのままの私』安冨歩(ぴあ)

『ありのままの私』安冨歩(ぴあ)。 ありのままの私 作者: 安冨歩 出版社/メーカー: ぴあ 発売日: 2015/07/30 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る いくつかのインタビュー記事を読んで、ちゃんと著書も読みたくなった。「男装をやめた東大教授」…

耽典籍:彫師の技術が生産の鍵を握る、浮世絵という製品について。『春画入門』車浮代(文春新書)

永青文庫で「春画展」が行われるのに合わせて出版された本ながら、なかなか内容がいい。春画というより、浮世絵がどういう仕組みで作られて流通されていたかや、絵師の特徴について紹介されている。 『春画入門』車浮代(文春新書)。 books.bunshun.jp 版元…

耽典籍:機械人間とAIが作る組織の可能性?『nature 科学 真相の知』竹内薫監修(実業之日本社)

せめて22世紀のことを考えないと、仕事をしていることにはならない。 テレポート、不死、AI、星間交流と、多くのことが当たり前になる中で、人と社会のかかわり方はどう変化していくのだろう。 『nature 科学 真相の知』竹内薫監修(実業之日本社)。 nature…

耽典籍:モスラの小さな歌声に耳を傾けぬまま、ゴジラを美化し咆哮を代弁することは。 『忘れられた島々 「南洋群島」の現代史』井上亮(平凡社新書

ゴジラが太平洋戦争で南洋に没した日本兵の亡霊なのだとしたら、モスラは戦争の舞台として踏みにじられた南洋群島の人々の霊なのだろうか。 「ビキニ事件で日本人の被害にしか目を向けないなら、同胞の玉砕・集団自決だけで戦争の悲惨さを語り、島民の犠牲を…

耽典籍:レイチェル・カーソンとエシカル。 『レイチェル・カーソンはこう考えた』多田満(ちくまプリマー新書)

エシカルとかソーシャルデザインとかに関わっていると、読んでて然るべきでしょうと思われるレイチェル・カーソンなんだけど、不勉強ながら『沈黙の春』すら読んでいない・・。ので、アンチョコ代わりに。 『レイチェル・カーソンはこう考えた』多田満(ちく…

耽典籍:東大女子の章はなくてちょっと残念。『早稲女、女、男』柚木麻子(祥伝社文庫)

2012年に単行本が出たとき、ちょうど早稲女から、早稲女が早稲女として見られることのあれこれについての話を聞かされたので、ネタに買おうかな、、と思ったがパスしていた。 文庫本になったので購入。 『早稲女、女、男』柚木麻子(祥伝社文庫)。 早稲女、…

耽典籍:好きな画家が生命の残滓で描いた一枚は面白くなかった。『「絶筆」で人間を読む 画家は最後に何を描いたか』中野京子(NHK出版新書)

魂を削らぬものに価値はない、ような気がしていて。 言い換えれば、生命と引き換えのものこそ美しいと思う。芸術でも、仕事でも、人生でも。 しかしこれは、僕が魂や生命を有限のものと捉えている証左だろうか。無限であれば削れないはずだ。 魂や生命を有限…

耽典籍:「この本は、こんなにも前に今の社会を言い表していたね」と、いつ言うことになるのだろうか。『出現する未来から導く』オットー・シャーマー(英治出版)

この夏の大著。 『U理論』のオットー・シャーマーの待望の新刊で、先行発売当日に買いに走り読みふけった。が、何となく間をおいて今感想。 出現する未来から導く――U理論で自己と組織、社会のシステムを変革する 作者: C オットーシャーマー,カトリンカウフ…

耽典籍:不倫は職場環境の問題~ポリアモリーまで。『はじめての不倫学 「社会問題」として考える』坂爪真吾さん(光文社新書)

坂爪真吾さんは、やっぱり恐ろしい人だと思った。いやむしろ、悪い人、というべきか(褒めてます。。)。 『はじめての不倫学 「社会問題」として考える』坂爪真吾さん(光文社新書)。 はじめての不倫学 「社会問題」として考える (光文社新書) 作者: 坂爪…

耽典籍:我々がAIではないか?コンテンポラリーダンス「エデン」から。『人工知能』ジェイムズ・バラッド(ダイヤモンド社) 

踊る広報こと、柴田菜々子さんのダンス「エデン」を見てきた。実にイメージ豊かな舞台で、コンテンポラリーダンスや舞踏を見るのは久しぶりながら面白かった。 「エデン」という題名から想起されるものも多かった。ふと考えていたのは、人工知能・AIのこと。…

耽典籍:友達がリストカットしているんだけど、どうしたらいいの? 『マンガでわかるオトコの子の「性」』染谷明日香(合同出版)。

『マンガでわかるオトコの子の「性」』は、Pilconさんのイベントで買って、染谷明日香さんにサインをもらったんだけど、前半~LGBTの章までをざっとと、村瀬幸浩先生の監修文を読んで、積ん読になっていた(スミマセン)。 マンガでわかるオトコの子の「性 …

耽典籍:下衆くたっていいんだもん、西武なら。『「西武」堤一族支配の崩壊』広岡友紀(さくら舎)

下衆い。 でも自称セゾンの末裔などといっている身からすると、その腐臭にも憧憬を感じてしまう。 『「西武」堤一族支配の崩壊』広岡友紀(さくら舎)。 「西武」堤一族支配の崩壊 ?真実はこうだった! 作者: 広岡友紀 出版社/メーカー: さくら舎 発売日: 20…

耽典籍:日本人の身体観について。 『耳鼻削ぎの日本史』清水克行(洋泉社)

『耳鼻削ぎの日本史』清水克行(洋泉社)。 耳鼻削ぎの日本史 (歴史新書y) 作者: 清水克行 出版社/メーカー: 洋泉社 発売日: 2015/06/04 メディア: 新書 この商品を含むブログ (3件) を見る その1:身体論は、大学生のころ流行っていて、授業で舞踏やコンテ…

耽典籍:戦後70年とは、誰にとっての70年なのか。『イラン毒ガス被害者とともに』津谷静子(原書房)

イラン・イラク戦争では、毒ガスが用いられたと聞く。その後も、クルド人に向けて毒ガスが使われたという報道を見たことがある。 いや過去形ではなく、今でもどこかで毒ガスを使用して「戦争」と呼ばれる行為が行われているかもしれない。毒ガスは人間の道具…

耽典籍:そうかハイブリッドキャリアは「H型人材」といえばいいか!『21世紀のビジネスにデザイン思考が必要な理由』佐宗邦威(クロスメディア・パブリッシング)

「働く」と「働かせる」のリ・デザインとかいって講演やワークショップをしたり、事業企画なんかしている者(僕だけど)には嬉しい、実践の友となる一冊。 『21世紀のビジネスにデザイン思考が必要な理由』佐宗邦威(クロスメディア・パブリッシング)。 21…

耽転籍:怖い本 原民喜戦後全小説 (講談社文芸文庫)

怖い本、というものがある。 怖すぎて読めず、本棚に置いておくだけの本。それが、原民喜の『夏の花・心願の国』(新潮文庫)だった。 原民喜戦後全小説 (講談社文芸文庫) 作者: 原民喜 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2015/06/11 メディア: 文庫 この商品…

耽転籍:SMかSF、どちらが好みか?タレントか組織、どちらが好みか?『銀河英雄伝説』

HR関係者との飲み会で、「銀河英雄伝説」を見て組織人事を語らないとね、みたいな話になった。そんなわけで110話もある長大なアニメを朝夜見続けて、2週間で見終えましたよ。。 銀河英雄伝説 ON THE WEBwww.ginei.jp 「銀河英雄伝説」の感想や、キャラクター…

耽典籍:罪と悪が対峙するときの物語。『ぱらいそ』今日マチ子(秋田書店)

ぱらいそ(書籍扱いコミックス) 作者: 今日マチ子 出版社/メーカー: 秋田書店 発売日: 2015/06/16 メディア: コミック この商品を含むブログ (1件) を見る 罪と悪が対峙するとき、どのような物語が紡がれるのか。 生きようと足掻くことが、その結果奪い、汚…

耽典籍:それぞれの、ポリアモリーの芽を思い出して。『ポリアモリー 複数の愛を生きる』深海菊絵(平凡社新書)

ポリアモリー 複数の愛を生きる (平凡社新書) 作者: 深海菊絵 出版社/メーカー: 平凡社 発売日: 2015/06/17 メディア: 新書 この商品を含むブログ (1件) を見る 『ポリアモリー 複数の愛を生きる』深海菊絵(平凡社新書)。 ポリアモリーの芽は、誰もが自然…

耽典籍:日立への拭えぬ不信と、「積み上げ」の大切さとともに。『ザ・ラストマン』川村隆(角川書店)

2010年4月から2012年末まで、僕は日立グループで社内ベンチャーの立ち上げをした。まさに「川村改革」の最中、日立は創業100周年を迎え、大きな変革に揺れていた。 セゾンという真逆の文化から日立グループ入りした僕はそのギャップに苦しみ、「日立時間」や…

耽典籍:プロボノ・パラレルキャリア・二枚目の名刺についてなら僕の話しの方がいい。『2枚目の名刺 未来を変える働き方』米倉誠一郎(講談社+α新書)

傲慢だけど、、プロボノ・パラレルキャリア・二枚目の名刺とかについてなら、僕の話しを聞いてくれるほうがよっぽどいいと思う。 2枚目の名刺 未来を変える働き方 (講談社+α新書) 作者: 米倉誠一郎 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2015/05/21 メディア: 新…

耽典籍:六本木で働きたがる女子大生とつきあったことがあった。キャバクラで研修もやった。『キャバ嬢の社会学』北条かや (星海社新書)。

そういえば北条かやさんの1作目も面白くてFBに感想書いたな、、と思ったけど見つけ出すのに苦労した。検索性のためにも過去のものもブログに移すのが吉か。 以下、2014年4月18日。 キャバ嬢の社会学 (星海社新書) 作者: 北条かや 出版社/メーカー: 講談社 発…

耽典籍:自律的選択にとって美容整形とは何か?『整形した女は幸せになっているのか』北条かや(星海社新書)。

その1:自律的な選択を善し・エシカルとするなら、なりたい顔・身体を選択する整形は善きものか。 その2:身体改造を忌避する日本文化における整形の位置づけ意味合いとは。 その3:自己尊厳を高める効果から、社会課題の中での美容の力を期待しているが、美…

耽典籍:これが「働かせ改革」。経営者が取り組む労働時間短縮と生産性向上。『当たり前の経営 常識を覆したSCSKのマネジメント』野田稔(ダイヤモンド社)

「働き方改革」ではなく、「働かせ方改革」の本。 経営者が合併を機に本気で労働時間短縮に取り組んで、生産性向上を成し遂げたという、参考になる話だと思う。 当たり前の経営---常識を覆したSCSKのマネジメント 作者: 野田稔 出版社/メーカー: ダイヤモン…

耽典籍:学生がたった4年間国際協力に関わり、残される一粒の麦 『狂気について』(渡辺一夫)より『トーマス・マン『五つの証言』に寄せて』

学生団体の活動で、大学生の4年間だけ国際協力に関わる。就活に有利なんじゃないかと、ボランティア活動に携わる。その行きつく先が貧困地域の給食やコンゴの医療機関と知らぬまま、レストランを予約したりメロンパンを買ったりする。 一生をかけるといった…

耽典籍:事件は現場で起きているは反知性主義なのか? 『反知性主義とファシズム』佐藤優・斎藤環(金曜日)

まあよく燃えそうなタイトルだこと・・・、と思いながら釣られた。 中盤の宮崎駿論が本のヤマ場なんだろうけど、出だしのAKBについてが一番面白かった。 『反知性主義とファシズム』佐藤優・斎藤環(金曜日)。 学問に立脚して事象をとらえるということがコ…

耽典籍:そんなにレイプをしたいのか?『ひとりではじめたアフリカボランティア』栗山さやか(金の星社)

モザンビークで医療系の活動をされている方の手記的な本。 『ひとりではじめたアフリカボランティア』栗山さやか(金の星社)。 リアリティある現地の話が多く、病気(HIV)と貧困に苦しむ人々の姿が描かれている。 しかしながらつくづく思うのは、レイプが…

耽典籍 その選択の「連なり」の先は?食・農・科学・企業。遺伝子組み換え・農薬・枯葉剤。それぞれの作用反作用『モンサント』マリー・モニク・ロバン(作品社)

食や農に興味ある方なら、興味をひかれるだろう本。 遺伝子組み換え種子の世界シェア90%。枯葉剤、除草剤、遺伝子組み換え大豆・トウモロコシ・綿花等々・・、非難も政府や学者との癒着話も黒い噂もテンコ盛りのバイオ科学企業モンサントのドキュメント。 …

耽典籍:女性活躍、男性不況、貧困の女性化、長時間労働慣行・・。『女性はなぜ活躍できないのか』大沢真知子(東洋経済新報社)

これは良著。 『男性不況』の裏返しみたいな内容に、『「育休世代」のジレンマ』『ハウスワイフ2.0』『LEAN IN』といった最近の女性のライフスタイルについての興味深い本のエッセンスも加味しながら、なぜ働く女性の「数」は増えても「質」につながらないの…

耽典籍:21世紀の『復興期の精神』か。『紋切型社会』武田砂鉄(朝日出版社)

花田清輝『復興期の精神』をぽつりぽつりと読んでいるが、それに近い諧謔と批評の刃を感じた。 『紋切型社会』武田砂鉄(朝日出版社) 書名の元ネタはフロベール『紋切型辞典』か。 社会に敷衍する紋切型な、思考を停止させて真綿のように同調を強いてくる言…

耽典籍:マネジメントの基礎理論ベースの課長の教科書?『無理・無意味から職場を救う マネジメントの基礎理論』海老原嗣生(プレジデント社)

海老原さんというと採用のイメージが強くて、なんでマネジメントなの?って感じがしたけど、、リクルートでSPIとか教育制度とかを作り上げた大沢武志さんへの追悼もあって書かれた本、らしい。 『無理・無意味から職場を救う マネジメントの基礎理論』海老原…

耽典籍:週刊ダイヤモンド『人事部の掟』いや、人事はもっと科学的・論理的な技能だろう(だといいな。)

週刊ダイヤモンド『人事部の掟』。 ”伏魔殿ニッポンの人事部”なんて表現で、エリートの集まる政治性の強いブラックボックスという古色蒼然な書かれ方もしていて、社員のデータを収集してお座敷芸の駆け引きしているっていうワイドショー的な記事もあり、まだ…

耽典籍:自分を尊重することと、他人を尊重することと、選択を引き受けることと『アサーションの心』平木典子(朝日新聞出版)

アサーションとは、『「人は誰でも自分の意見や要求を表明する権利がある」との立場に基づく適切な自己主張のこと』(人事辞典 )となんとなく知っていたけど、体系的には分かってないなと思っていたのでちょうどいい本。 http://jinjibu.jp/keyword/detl/30…

耽典籍:人生の際で人が選択に迫られる様を「美しい」と呼ぶことは不遜か。『キルギスの誘拐結婚』林典子(日経ナショナルジオグラフィック社)

(2014.9.28) 今のところ2014年ベストの1冊が、貸し先から帰ってきた。 解釈の言葉もない写真集。 『キルギスの誘拐結婚』林典子(日経ナショナルジオグラフィック社) キルギスで行われている誘拐結婚の、実際の数名のケースに寄り添い、一人ひとりの誘拐…

耽典籍: アメリカの信仰の歴史と、どでかいファンドレイジング集会と、ポジティブ病と。『反知性主義 アメリカが生んだ「熱病」の正体』森本あんり(新潮選書)

アメリカのNPO等での寄付金集め集会が、どうしてあんなに盛大なパーティーになるのか不思議だったけど、その経緯みたいなものがわかった気がする。 「反知性主義」という、日本でも取沙汰されている現象についての本だけど、ほとんどアメリカの宗教・信仰と…

耽典籍:モロボシダンは女にだらしないわけではなかった?『ウルトラマン「正義の哲学」』神谷和宏(朝日文庫)

「他者から他者を守る他者」の物語であるウルトラマンを題材に、異なる価値観との対面について多面的に書かれた本。ギエロン星獣の喉元を今にもアイスラッガーで搔き切ろうとする残酷そうなセブン、という表紙のチョイスが絶妙。『ウルトラマン「正義の哲学…

耽典籍:トライセクター・リーダーの必要性と希少性には頷きつつ  『社会のために働く』藤沢烈(講談社)

高校の先輩ですね。中学もかな? ユニークな社名(?)で、コンサルなんだかNPOなんだかよく分からない、そんな曖昧さをあえて狙っているんだろうと思っていた組織がどんな仕事をしているのか、興味深かった。 『社会のために働く』藤沢烈(講談社) なんか…

耽典籍:人事の最先端は「変わる組織」を作ることか?『人事よ、ススメ!』中原淳編著(碩学舎。中央経済社)

人事の最先端。お世話になってる方も満載で、面白い&とても勉強になる。中原淳先生その他による、人事・HRの連続講義の書籍版。 『人事よ、ススメ!』中原淳編著(碩学舎。中央経済社)ダイバーシティが企業の業績に寄与することの論拠がなかなか見つからず…

耽典籍:どこか滑稽で、大人になってしまったが故に不器用な恋愛物語 『恋愛時代』野沢尚(幻冬舎文庫)

韓国ドラマの『恋愛時代』が好きで、抑制された映像とか、恋愛・結婚・流産・離婚を経た後の男女関係という「その後の物語」なテーマとか、主人公が書店員ってこととかがいいなぁと思って調べたら原作が野沢尚だった。 原作を買おうと思ったけどもう絶版に近…

耽典籍:「限定正社員」という階段を利用しながら普通に働け、と。『これだけは知っておきたい 働き方の教科書』安藤至大(ちくま新書)

労働・働き方ということについて、きちんと整理して書かれた本だなと思う。派手さはないけど、真摯な感じ。 『これだけは知っておきたい 働き方の教科書』安藤至大(ちくま新書) 前半は労働市場分析のまとめで、後半は雇用が多様化・流動化せざるを得ない直…

耽典籍:石田三成>大前研一でしょ。『三成の不思議なる条々』岩井三四二(光文社)

石田三成は日本というもの、日本人というものを可視化させた天才で、現代にいたら大前研一もルイ・ガースナーもビックリなくらいだと思う。 津軽さんと島津さんが同室で顔を合わせながら、国政とか経済とか文化について話すという現象は、豊臣政権下において…

耽典籍:セゾンの末裔のこのDNAが尽きぬ限り。『絶滅起業に学べ!』(大和書房)

自称、セゾンの末裔として、こういう本にはどうしても手が出てしまう。。。 『絶滅起業に学べ!』(大和書房) セゾンから、大映、虫プロ、鈴木商店、それに山一證券から満鉄まで、今は亡き企業の栄枯盛衰が書かれている。知らなかった企業もあり、へぇっと…

耽典籍:君は戦争より生まれたが、君が死んでも戦争は死なず、今日も第二第三の君は死ぬ 『coyote 旅する二人キャパとゲルダ』

ゲルタ・ポホリレという女性は戦争を撮るためにスペインへ向かい、戦争写真家ゲルダ・タローとなった。エンドレ・フリードマンは彼女を愛し、同じく戦争を撮るためにスペインに向かい、戦争写真家ロバート・キャパとなった。ゲルダ・タローは死に、残された…

耽典籍:何がピンぼけしているのか 『101年目のロバート・キャパ 誰もがボブに憧れた』東京都写真美術館

ロバート・キャパの写真展には文脈があり、戦争(スペイン内戦、WWⅡ、そしてインドシナ戦争)→戦時下のつかの間の憩い(キスする兵士やゲー ムする兵士)→友人達(ヘミングウェイ、ピカソ、そしてゲルダ・タロー)→日本(けっこう日本の写真も多い)→平和な…

耽典籍:「女性は後戻りしないものです」? 『すべては1979年から始まった』 クリスチャン・カリル

自分が1979年生まれでなければ興味をひかれなかったかもしれないが、昨今の世界を考えるに、現代の政治史・経済史・宗教史というか、地政学の流れを示してくれる本として面白かった。 『すべては1979年から始まった』 クリスチャン・カリル 草思社 ホメイニ…

耽典籍 :流行りといわれつつ、スタンダードな本のないマインドフルネスなるものについて 『マインドフルネス 気づきの瞑想』 バンテ・H・グナラタナ

「マインドフルネス」は最近組織開発とか企業研修とかでも話題となっている。ので仕事的にもそれなりに分かっておかないといけない。けど基本書がどれなのか、スピリチュアル系の本はあるけど、地に足のついたいい本はどれなのかなと思った。が、まあこれか…

耽典籍 :いや、ちゃんと話きいてますよ、ええ。 『問いかける技術』エドガー・H・シャイン

浮気をしながら読み進めていたのでやっと読了。 『問いかける技術』エドガー・H・シャイン(英治出版)。 いかに真摯に相手の本質に寄り添う問いを生み出せるかをテーマとした、謙虚な(何度も謙虚に、という語がつかわれている)本。 人から人への問いとい…

耽典籍 :そもそも男が女がと隔てることが旧弊的とはいわれつつ・・ 『男性漂流 男たちは何におびえているか』奥田祥子

「男はつらいよ」というネタで、男性はマジョリティとされながらも「自殺の7割は男性。年代別では50代男性が最も多い。過労死のほとんどは男性。」(ハフポの吉田大樹さんの記事から)という話をしてるけど、まさにそのルポタージュ。 『男性漂流 男たちは…

耽典籍 :その修辞は以て時代を超え 『復興期の精神』花田清輝

『復興期の精神』花田清輝 戦後文学を代表する文芸批評家の一人として知られる花田清輝の『復興期の精神』を、20年ぶりにひっぱり出してぽつりぽつりと読んでいる。 第二次世界大戦中を通して書きつづられた、ルネサンス期二十二人の素描だが、その華麗なレ…