耽典籍

耽典籍:「この本は、こんなにも前に今の社会を言い表していたね」と、いつ言うことになるのだろうか。『出現する未来から導く』オットー・シャーマー(英治出版)

この夏の大著。 『U理論』のオットー・シャーマーの待望の新刊で、先行発売当日に買いに走り読みふけった。が、何となく間をおいて今感想。 出現する未来から導く――U理論で自己と組織、社会のシステムを変革する 作者: C オットーシャーマー,カトリンカウフ…

耽典籍:不倫は職場環境の問題~ポリアモリーまで。『はじめての不倫学 「社会問題」として考える』坂爪真吾さん(光文社新書)

坂爪真吾さんは、やっぱり恐ろしい人だと思った。いやむしろ、悪い人、というべきか(褒めてます。。)。 『はじめての不倫学 「社会問題」として考える』坂爪真吾さん(光文社新書)。 はじめての不倫学 「社会問題」として考える (光文社新書) 作者: 坂爪…

耽典籍:我々がAIではないか?コンテンポラリーダンス「エデン」から。『人工知能』ジェイムズ・バラッド(ダイヤモンド社) 

踊る広報こと、柴田菜々子さんのダンス「エデン」を見てきた。実にイメージ豊かな舞台で、コンテンポラリーダンスや舞踏を見るのは久しぶりながら面白かった。 「エデン」という題名から想起されるものも多かった。ふと考えていたのは、人工知能・AIのこと。…

耽典籍:友達がリストカットしているんだけど、どうしたらいいの? 『マンガでわかるオトコの子の「性」』染谷明日香(合同出版)。

『マンガでわかるオトコの子の「性」』は、Pilconさんのイベントで買って、染谷明日香さんにサインをもらったんだけど、前半~LGBTの章までをざっとと、村瀬幸浩先生の監修文を読んで、積ん読になっていた(スミマセン)。 マンガでわかるオトコの子の「性 …

耽典籍:下衆くたっていいんだもん、西武なら。『「西武」堤一族支配の崩壊』広岡友紀(さくら舎)

下衆い。 でも自称セゾンの末裔などといっている身からすると、その腐臭にも憧憬を感じてしまう。 『「西武」堤一族支配の崩壊』広岡友紀(さくら舎)。 「西武」堤一族支配の崩壊 ?真実はこうだった! 作者: 広岡友紀 出版社/メーカー: さくら舎 発売日: 20…

耽典籍:日本人の身体観について。 『耳鼻削ぎの日本史』清水克行(洋泉社)

『耳鼻削ぎの日本史』清水克行(洋泉社)。 耳鼻削ぎの日本史 (歴史新書y) 作者: 清水克行 出版社/メーカー: 洋泉社 発売日: 2015/06/04 メディア: 新書 この商品を含むブログ (3件) を見る その1:身体論は、大学生のころ流行っていて、授業で舞踏やコンテ…

耽典籍:戦後70年とは、誰にとっての70年なのか。『イラン毒ガス被害者とともに』津谷静子(原書房)

イラン・イラク戦争では、毒ガスが用いられたと聞く。その後も、クルド人に向けて毒ガスが使われたという報道を見たことがある。 いや過去形ではなく、今でもどこかで毒ガスを使用して「戦争」と呼ばれる行為が行われているかもしれない。毒ガスは人間の道具…

耽典籍:そうかハイブリッドキャリアは「H型人材」といえばいいか!『21世紀のビジネスにデザイン思考が必要な理由』佐宗邦威(クロスメディア・パブリッシング)

「働く」と「働かせる」のリ・デザインとかいって講演やワークショップをしたり、事業企画なんかしている者(僕だけど)には嬉しい、実践の友となる一冊。 『21世紀のビジネスにデザイン思考が必要な理由』佐宗邦威(クロスメディア・パブリッシング)。 21…

耽転籍:怖い本 原民喜戦後全小説 (講談社文芸文庫)

怖い本、というものがある。 怖すぎて読めず、本棚に置いておくだけの本。それが、原民喜の『夏の花・心願の国』(新潮文庫)だった。 原民喜戦後全小説 (講談社文芸文庫) 作者: 原民喜 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2015/06/11 メディア: 文庫 この商品…

耽転籍:SMかSF、どちらが好みか?タレントか組織、どちらが好みか?『銀河英雄伝説』

HR関係者との飲み会で、「銀河英雄伝説」を見て組織人事を語らないとね、みたいな話になった。そんなわけで110話もある長大なアニメを朝夜見続けて、2週間で見終えましたよ。。 銀河英雄伝説 ON THE WEBwww.ginei.jp 「銀河英雄伝説」の感想や、キャラクター…

耽典籍:罪と悪が対峙するときの物語。『ぱらいそ』今日マチ子(秋田書店)

ぱらいそ(書籍扱いコミックス) 作者: 今日マチ子 出版社/メーカー: 秋田書店 発売日: 2015/06/16 メディア: コミック この商品を含むブログ (1件) を見る 罪と悪が対峙するとき、どのような物語が紡がれるのか。 生きようと足掻くことが、その結果奪い、汚…

耽典籍:それぞれの、ポリアモリーの芽を思い出して。『ポリアモリー 複数の愛を生きる』深海菊絵(平凡社新書)

ポリアモリー 複数の愛を生きる (平凡社新書) 作者: 深海菊絵 出版社/メーカー: 平凡社 発売日: 2015/06/17 メディア: 新書 この商品を含むブログ (1件) を見る 『ポリアモリー 複数の愛を生きる』深海菊絵(平凡社新書)。 ポリアモリーの芽は、誰もが自然…

耽典籍:日立への拭えぬ不信と、「積み上げ」の大切さとともに。『ザ・ラストマン』川村隆(角川書店)

2010年4月から2012年末まで、僕は日立グループで社内ベンチャーの立ち上げをした。まさに「川村改革」の最中、日立は創業100周年を迎え、大きな変革に揺れていた。 セゾンという真逆の文化から日立グループ入りした僕はそのギャップに苦しみ、「日立時間」や…

耽典籍:プロボノ・パラレルキャリア・二枚目の名刺についてなら僕の話しの方がいい。『2枚目の名刺 未来を変える働き方』米倉誠一郎(講談社+α新書)

傲慢だけど、、プロボノ・パラレルキャリア・二枚目の名刺とかについてなら、僕の話しを聞いてくれるほうがよっぽどいいと思う。 2枚目の名刺 未来を変える働き方 (講談社+α新書) 作者: 米倉誠一郎 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2015/05/21 メディア: 新…

耽典籍:六本木で働きたがる女子大生とつきあったことがあった。キャバクラで研修もやった。『キャバ嬢の社会学』北条かや (星海社新書)。

そういえば北条かやさんの1作目も面白くてFBに感想書いたな、、と思ったけど見つけ出すのに苦労した。検索性のためにも過去のものもブログに移すのが吉か。 以下、2014年4月18日。 キャバ嬢の社会学 (星海社新書) 作者: 北条かや 出版社/メーカー: 講談社 発…

耽典籍:自律的選択にとって美容整形とは何か?『整形した女は幸せになっているのか』北条かや(星海社新書)。

その1:自律的な選択を善し・エシカルとするなら、なりたい顔・身体を選択する整形は善きものか。 その2:身体改造を忌避する日本文化における整形の位置づけ意味合いとは。 その3:自己尊厳を高める効果から、社会課題の中での美容の力を期待しているが、美…

耽典籍:これが「働かせ改革」。経営者が取り組む労働時間短縮と生産性向上。『当たり前の経営 常識を覆したSCSKのマネジメント』野田稔(ダイヤモンド社)

「働き方改革」ではなく、「働かせ方改革」の本。 経営者が合併を機に本気で労働時間短縮に取り組んで、生産性向上を成し遂げたという、参考になる話だと思う。 当たり前の経営---常識を覆したSCSKのマネジメント 作者: 野田稔 出版社/メーカー: ダイヤモン…

耽典籍:学生がたった4年間国際協力に関わり、残される一粒の麦 『狂気について』(渡辺一夫)より『トーマス・マン『五つの証言』に寄せて』

学生団体の活動で、大学生の4年間だけ国際協力に関わる。就活に有利なんじゃないかと、ボランティア活動に携わる。その行きつく先が貧困地域の給食やコンゴの医療機関と知らぬまま、レストランを予約したりメロンパンを買ったりする。 一生をかけるといった…

耽典籍:事件は現場で起きているは反知性主義なのか? 『反知性主義とファシズム』佐藤優・斎藤環(金曜日)

まあよく燃えそうなタイトルだこと・・・、と思いながら釣られた。 中盤の宮崎駿論が本のヤマ場なんだろうけど、出だしのAKBについてが一番面白かった。 『反知性主義とファシズム』佐藤優・斎藤環(金曜日)。 学問に立脚して事象をとらえるということがコ…

耽典籍:そんなにレイプをしたいのか?『ひとりではじめたアフリカボランティア』栗山さやか(金の星社)

モザンビークで医療系の活動をされている方の手記的な本。 『ひとりではじめたアフリカボランティア』栗山さやか(金の星社)。 リアリティある現地の話が多く、病気(HIV)と貧困に苦しむ人々の姿が描かれている。 しかしながらつくづく思うのは、レイプが…

耽典籍 その選択の「連なり」の先は?食・農・科学・企業。遺伝子組み換え・農薬・枯葉剤。それぞれの作用反作用『モンサント』マリー・モニク・ロバン(作品社)

食や農に興味ある方なら、興味をひかれるだろう本。 遺伝子組み換え種子の世界シェア90%。枯葉剤、除草剤、遺伝子組み換え大豆・トウモロコシ・綿花等々・・、非難も政府や学者との癒着話も黒い噂もテンコ盛りのバイオ科学企業モンサントのドキュメント。 …

耽典籍:女性活躍、男性不況、貧困の女性化、長時間労働慣行・・。『女性はなぜ活躍できないのか』大沢真知子(東洋経済新報社)

これは良著。 『男性不況』の裏返しみたいな内容に、『「育休世代」のジレンマ』『ハウスワイフ2.0』『LEAN IN』といった最近の女性のライフスタイルについての興味深い本のエッセンスも加味しながら、なぜ働く女性の「数」は増えても「質」につながらないの…

耽典籍:21世紀の『復興期の精神』か。『紋切型社会』武田砂鉄(朝日出版社)

花田清輝『復興期の精神』をぽつりぽつりと読んでいるが、それに近い諧謔と批評の刃を感じた。 『紋切型社会』武田砂鉄(朝日出版社) 書名の元ネタはフロベール『紋切型辞典』か。 社会に敷衍する紋切型な、思考を停止させて真綿のように同調を強いてくる言…

耽典籍:マネジメントの基礎理論ベースの課長の教科書?『無理・無意味から職場を救う マネジメントの基礎理論』海老原嗣生(プレジデント社)

海老原さんというと採用のイメージが強くて、なんでマネジメントなの?って感じがしたけど、、リクルートでSPIとか教育制度とかを作り上げた大沢武志さんへの追悼もあって書かれた本、らしい。 『無理・無意味から職場を救う マネジメントの基礎理論』海老原…

耽典籍:週刊ダイヤモンド『人事部の掟』いや、人事はもっと科学的・論理的な技能だろう(だといいな。)

週刊ダイヤモンド『人事部の掟』。 ”伏魔殿ニッポンの人事部”なんて表現で、エリートの集まる政治性の強いブラックボックスという古色蒼然な書かれ方もしていて、社員のデータを収集してお座敷芸の駆け引きしているっていうワイドショー的な記事もあり、まだ…

耽典籍:自分を尊重することと、他人を尊重することと、選択を引き受けることと『アサーションの心』平木典子(朝日新聞出版)

アサーションとは、『「人は誰でも自分の意見や要求を表明する権利がある」との立場に基づく適切な自己主張のこと』(人事辞典 )となんとなく知っていたけど、体系的には分かってないなと思っていたのでちょうどいい本。 http://jinjibu.jp/keyword/detl/30…

耽典籍:人生の際で人が選択に迫られる様を「美しい」と呼ぶことは不遜か。『キルギスの誘拐結婚』林典子(日経ナショナルジオグラフィック社)

(2014.9.28) 今のところ2014年ベストの1冊が、貸し先から帰ってきた。 解釈の言葉もない写真集。 『キルギスの誘拐結婚』林典子(日経ナショナルジオグラフィック社) キルギスで行われている誘拐結婚の、実際の数名のケースに寄り添い、一人ひとりの誘拐…

耽典籍: アメリカの信仰の歴史と、どでかいファンドレイジング集会と、ポジティブ病と。『反知性主義 アメリカが生んだ「熱病」の正体』森本あんり(新潮選書)

アメリカのNPO等での寄付金集め集会が、どうしてあんなに盛大なパーティーになるのか不思議だったけど、その経緯みたいなものがわかった気がする。 「反知性主義」という、日本でも取沙汰されている現象についての本だけど、ほとんどアメリカの宗教・信仰と…

耽典籍:モロボシダンは女にだらしないわけではなかった?『ウルトラマン「正義の哲学」』神谷和宏(朝日文庫)

「他者から他者を守る他者」の物語であるウルトラマンを題材に、異なる価値観との対面について多面的に書かれた本。ギエロン星獣の喉元を今にもアイスラッガーで搔き切ろうとする残酷そうなセブン、という表紙のチョイスが絶妙。『ウルトラマン「正義の哲学…

耽典籍:トライセクター・リーダーの必要性と希少性には頷きつつ  『社会のために働く』藤沢烈(講談社)

高校の先輩ですね。中学もかな? ユニークな社名(?)で、コンサルなんだかNPOなんだかよく分からない、そんな曖昧さをあえて狙っているんだろうと思っていた組織がどんな仕事をしているのか、興味深かった。 『社会のために働く』藤沢烈(講談社) なんか…