エシカルファッションはブランドではなく、縁起のいい服を着ること。
学生さんから、「エシカルファッションに興味があるのですが、どこで何を買えるんでしょう?」「お金がないのですけど、買えるエシカルブランドはありますか?」という質問をもらうことがあります。
僕なりに拙く答えたものの、まとめとして。
<エシカルをブランドにまかせるな>
エシカルとは、「私」と「社会」とが時間的・空間的につながっていることを意識して、選択をすることだと思います。
エシカルファッションブランドは、その時間的・空間的なつながりが見えやすいように服やアクセサリー作りをしているブランドといえるでしょう。服やアクセサリーがどこから来たのか、誰が作っているのかがわかる、もしくは意識できるように、それぞれのブランドがストーリーを持っています。
買う「私」は、そのストーリーに乗っかれば、「社会」とのつながりを感じて、つながりに参加することができます。
しかし、それでいいのでしょうか?
エシカルにとって一番大切な、「私」と「社会」とがどのようなつながりを持ちつづけていくかという意識づけや選択という行為を、ブランドにお任せしてしまって、パッケージされた効能だけを購入していないでしょうか?
それぞれのエシカルブランドが頑張って、「私」と「社会」のつながりのストーリーを紡いでいけばいくほど、エシカルをブランドにまかせてしまう人も出てきてしまうのでは、と感じます。
思うのは、エシカルファッションはブランドではない、ということです。
<一人ひとりが、心がけて着ること>
エシカルブランドというのは確かにありますが、大切なのはそのブランドの服を着るか着ないかではなく、一人ひとりの意識、心がけでしょう。
一着の服を買うことが、着ることが、どのような「私」と「社会」のつながりになるのかを考えて、ちゃんと長く着ることができれば、大量生産の服でもエシカルに着ることができるはずだと思います。
逆にエシカルブランドの服を着ても、非エシカルになるということもある、と思います。たとえオーガニックコットンの服を着ても、ちょっと着てポイと捨てれば、非エシカルでしょう。
自分が、何を着ているか、何故着ているか、それが半径1mにどう影響するか、それが服やアクセサリーの原産地・生産地にどう影響するか、そのことが自分にどう帰ってくるかを、意識すること。
めんどくさいです。でも、難しいことではないと思います。自分が身に着けるものを、ちゃんと心がける、ということ。丁寧に生活すること、ともいえるかもしれません。
エシカルブランドを買わなくても、一人ひとりが心がけて服を着れば、まずは充分エシカルなんではないでしょうか。
エシカルとは社会に対する責任でもあるので、それをブランドに押し付けず、自分に引き付けてみればいいと思います。
<エシカル=縁起?>
エシカルの訳語を考える時、「縁起」という言葉がいいのではないか、と思っています。
「縁起」とは、縁起を担ぐの縁起です。仏教用語なので難しい諸説もありますが、「縁」が「起こって」こっちとあっちが呼応してつながっていく、と大雑把にとらえればいいんじゃないか、と思います。
「私」と「社会」とが時間的・空間的につながっていることを意識して、選択をすること、というエシカルは、まさに「縁起」といえるのではないでしょうか。
何の気なしに竹のアクセサリーを買ったことが縁の起点となって、フィリピンの山岳民族の職人さんにまでじわじわとつながる。それが山岳民族の文化を伝える活動の応援になり、いつの日か自分を励ましてくれる音楽として戻ってくる、かもしれない。
風が吹けば桶屋が儲かる、みたいですが、エシカルというのはこういったつながりを心がけることだと思います。そして、エシカルファッションとは少しでもいいつながりを生める服を選ぶ・意識するということだと思います。「縁起」のいいものを選ぶといえるかもしれません。
エシカルファッションでよい服を着るとは、「縁起」を意識して、縁起のいい服を着る、ということ、かも。縁起がいい服というのは、ちょっと気分がいいものです。
<究極のエシカルファッションとは?>
「縁起」というものを心がけることもできて、、手の届きやすいエシカルファッションとして、学生さんにすすめているのは、どこのブランドでもありません。
古着です。
「もったいない」は、とってもエシカルな感覚だと思います。誰かのストーリーを受けついで、長く着る古着は、立派なエシカルファッションでしょう。学生さん向きですし。
別に古着でなくても、服を買って、長く着ることは、大事なことだと思います。僕の参画する某エシカルアクセサリーブランドの代表は、毛玉のついたセーターとか着てますが、あれはエシカルファッションなんです(震え声)。
そう考えた時に、究極のエシカルファッションとは、スタイル維持じゃあないでしょうか。
スタイル維持。
というわけで、結論。正月太りは早く戻しましょう。