耽典籍 その選択の「連なり」の先は?食・農・科学・企業。遺伝子組み換え・農薬・枯葉剤。それぞれの作用反作用『モンサント』マリー・モニク・ロバン(作品社)
食や農に興味ある方なら、興味をひかれるだろう本。
遺伝子組み換え種子の世界シェア90%。枯葉剤、除草剤、遺伝子組み換え大豆・トウモロコシ・綿花等々・・、非難も政府や学者との癒着話も黒い噂もテンコ盛りのバイオ科学企業モンサントのドキュメント。

正直、面白い本でも読みやすい本でもなく、価格もお高めだし・・、でもモンサントのいろいろに(ややワイドショー的にも)興味があり、読んでしまった。。。
当然(と、言うべきか)、モンサントに好意的に書かれている内容ではなく、告発的ジャーナリズムの本となっている。
でも、世界の農業や食を半ば支配するような力を持ち得ているのだから、モンサントの商品を使うことのメリットというのも何か大きくあるのだと思うけ ど、、そこら辺のことはよく分からなかった・・。だから何故、農家がこんなアブない種子や農薬を使うのか、まったく理解できないな、、という感想になっ ちゃう。。
善悪という価値判断は留め置き、必要とし支持し益を受けている人がいるからこそ、モンサントは世界的企業として存続し続けているんだと思う。だから農薬や遺伝子組み換え種子を使っている人を無知だ とか言うことはできないはず、その人たちなりの選択があると思うので。さらに、モンサントにだって社会的使命感があるのだろうなと思う。。。
書籍からは、モンサントが不実であってもなぜ世界中で売れているのか、支持されているのか、社会にどのような価値を与えているのかが読み取れず(あまり書かれておらず?)、そのような文章ではジャーナリズムとして相手を告発することは難しいんじゃないかな、、思いう。水掛け論ではなく、きちんと相手の話を聞くニュートラルな姿勢こそが、批評・批判・告発の起点にな るのだと思うので。。
とはいえ、モンサントの弁護をしてみたい気はなく、彼らの与えているその選択はサステナブルですか?ということを思う。
エシカルを「全て(の人)によって幸せな選択の連なり」ととらえるなら、この「連なり」という言葉は重い。
科学技術であれ何であれ、作用には反作用があるもので、その反作用が何なのか、そして自身が、もしくは人類が、さらには地球が引き受けるものができるのかを問うて選択するというニュートラルな姿勢を、誰もが持つことができる社会になればいいと思う。が、それは果てなき道であり、また他人の選択を忖度するのも傲慢だろう。。