夢抱く粗忽娘、下里夢美/ソーシャルドリームコンテスト応援

f:id:tetsuji178:20170831015608j:plain

2013年の初夏、渋谷西武の2階アクセサリー売り場で珍獣と会った。

 

下里夢美というその珍獣と僕は、EDAYAとR ethicalさんのアクセサリー販売の売り子として一緒のシフトに入っていた。僕も彼女も販売に不慣れで、通りかかるお客さんにおっかなびっくりしながら数時間をすごした。お互いのことをぼそぼそと話し、なんだかNGOの手伝いをしつつファンドレイザーの勉強をしつつ、カンボジアだかアフリカのことをやりたい子らしいと、ぼんやりわかった。シフトの終わりに初めてアクセサリーを買ってくれるお客さんがいて、二人して慌てつつ、片方が帳場に走り、片方がお包みをして無事に販売を終えた。はじめての二人の共同作業ってやつだった。

 

実はその前に彼女とは顔をあわせている。シャプラニールのインターンだった彼女がEDAYAのイベントに来ていて、僕もそこに参加していたのだ。僕がEDAYAのプロボノになる決定的なイベントに、下里さんもいた。

 

とにかく、一緒に販売をやった後も彼女はEDAYAのイベントを手伝ってくれたりして、ちょくちょくと顔をあわせる中で親しくなっていった。シエラレオネのことも少し聞いた。彼女にとっての、準備運動期間だったと思う。

 

しばらくして、アラジという団体を作ったと聞いた。ああ、下里さんは助走期間に入ったんだなと思った。とりあえずいくつかイベントをやっているので顔を出してあげないと、、と思いつつなかなか行けず、半年近くすぎた。

 

下里さんはよく迷走をする人だと思うが、アラジ立上げの時も右往左往あったらしい。イベントにネッ〇ワークビ〇ネスの人ばかり来ちゃったり。やや安定してアフリカ料理の調理&食事会を定期開催するようになった頃、やっと僕はアラジの下里夢美に会いに行くことができた。

 

団体運営者としての下里夢美のいいところ、悪いところを感じたアフリカ料理会だった。珍獣のような面白味はあるが、粗忽者だなという印象が残った。その長所短所はいまだにあまり変わらない。イベントは楽しく、以降アフリカ料理屋によく行くようになった。

 

シエラレオネという目的地は持ちつつも、方法論が定まっていない、要はWhyはあってWhatが弱いアラジは、その後も迷走を続けたように見えた。食事会や、プレゼン会や女性への投資や、インタビューやファンドレイジング勉強会や・・なんだかいろいろやっていた。

 

下里さんの性格なのだろう。たくさん思いつき、かつそれをやってみたくなってしまう。アイディア豊富で行動力があるといえるが、やり散らかすともいえる。継続性が課題点。

 

アイディアと行動力ゆえに思わぬビッグヒットがあり、それが面白くて、同時にやり散らかしも心配で、僕は彼女の企画に顔を出し続けた。僕自身もやり散らかすタイプなので、シンパシーを感じたともいえる。

 

驚くこともあった。アフリカローズの萩生田愛さんや、NPO法人OVAの伊藤次郎さんがイベントに来てくれているのに、小汚いところにぽつねんと座らせて水を出す程度、みたいな。人の扱いに差をつけないというと聞こえはいいが、もうちょっとゲストを大切にしないと失礼すぎるだろ・・・と焦った。

 

それで下里さんに小言をいうのだが、まあ正直それも面白くて、粗忽な珍獣の暴れぶりを見るために、老婆心を発揮させつつ彼女の企画に首を突っ込んでいる。

 

彼女の方からも、僕は使いやすい人間なのだと思う。気づかいはいらないし、一定のクオリティは担保してあげられるし、集客もするし。だからネタに困ったときに声をかけてくる・・気がする。

 

そのいい例が、第1回ソーシャルドリームコンテスト。突然思いついた大規模プレゼンイベントの登壇者としては、僕はうってつけだったのだろう。1か月前くらいの急な打診だったものの、プレゼンターとして無事役割は果たしたはず。

 

ソーシャルドリームコンテストはそんなバタバタで始まったのにも関わらず、無事に継続コースに入り、この9月2日に第3回が開催される。まだまだ至らない点は散見するけど、でも仕組み化や質の向上の努力はよくわかるので、下里さんも成長したな、と思う。

 

それはつまり、アラジの迷走助走期間の終わりが近い、ということなのかもしれない。

 

正式にNPOになり、シエラレオネとのパイプもでき、関わる人も増え、そろそろプロトタイピングから事業化へ、という時期なのかもしれない。下里夢美の夢が形になる兆し、といえようか。

 

だからこそ、アフリカ料理会の頃から引きずる彼女の粗忽ポイントをちゃんと認識して、カバーできる体制があるといいなと思う。僕が思う彼女の短所は、下記。

 

(1)実行フェーズが雑

アイディアから準備をし、人を巻き込んで動かすことまではエネルギーも意識も割くのに、いざ本番となるとすごく雑になる。準備会を何度もやって、出欠確認もまめにとっていたのに、イベントが開始されると力尽きてほったらかしで、参加者が途方にくれる姿を何度か見た。集められたけど、どうすりゃいいの?みたいな。

 

第1回ソーシャルビジネスコンテストの時、下里さんの靴が壮絶に汚くてカビてんじゃないかってくらいで、主催者として前に出せない・・と思ったが、それも一例かもしれない。

 

スタートがゴールで満足してしまうのか、準備通りに本番をすすめるだけで頭がいっぱいなのかわからないが、一期一会で集まった人の心を鷲掴むためにも、今ここの場に集中して、神経を配ってほしい。

 

(2)身内に向きすぎ

活動を続けていると、親しい人が増えてくる。そんな身内を重視して、馴れ合い感がでてしまうと、外部の人やリソースを取り込むことが難しくなる。下里さんには、ちょっとその危険性がある。

 

ゲスト対応が雑なのは典型例かと思う。知らない人とコミュニケーションをとるのが意外と苦手なタイプなのかもしれない。けっこうシャイというか、恥ずかしがり屋な一面を持つとは思う。

 

NPOの代表になったのだから、ここら辺は変えていった方がいいだろうけど、無理する必要もない。団体内で誰かサブの人間が、外交面は担ってもいいかもしれない。

 

(3)感情ですぐに器がいっぱいになる

ここは、最近だいぶ成長してるなと思う。感受性豊かな分、納得いかないことがあると感情に流されてしまいがち、という印象が以前は強かった。

 

でもシエラレオネに行って一筋縄ではいかない人間の中で暮らしたり、NPOという組織を持ったりして、感情を入れる器はだいぶ大きくなったみたい。端的にいって、しっかりと人の話しを聞けるようになった。

 

このまま器をより大きくしていってもらいたい。言うまでもなく、世の中には人の数以上の理屈や価値観があり、考えがあるのだから、それをちゃんと聞いて、受け止められる人になっていってほしい。そういう人、意外ととっても少ない。 

 

・・・というように僕なりの苦言を記してみたけれど(本当はあといくつかある)、これはもうすぐ誕生日を迎える、そして第3回ソーシャルドリームコンテストを開催する下里さんへの、僕からのひねくれたプレゼントのつもりだったりする。

 

彼女の良いところは、いくつもある。ただ一つ、賞賛すべきことは、やり続けていることだと思う。これは本当に偉い。

 

迷走しているだの継続性がないだのと小言を言ったが、でも蛇行しながら前へ前へとアラジをすすめてきていることは間違いない。やり散らかし続けることは、やり続けることと変わりない。

 

社会に関わる活動で、なにより大切なのはこのやり続けることだと思う。瞬間風速で素晴らしいことを成す人、突発で大きなインパクトを出す人はいる。でも社会課題と向き合うという答えもゴールもない活動のなかでは、右往左往しながら、手を変え品を変えしつつも続ける人こそが賞賛されるべきだし、きっと人に寄り添って長期的に影響を与えられる。

 

下里さんと知り合ってからの年月は、このことを強く思わせる。

 

9月2日に迫った第3回ソーシャルドリームコンテストを経て、NPO代表の下里夢美がどのような事業の継続をみせていくのか、夢抱く粗忽娘の夢の実現がとても楽しみ。

開催日まで4日!!第3回ソーシャルドリームコンテスト≪夢×社会貢献≫

f:id:tetsuji178:20170831015628j:plain