耽典籍:モロボシダンは女にだらしないわけではなかった?『ウルトラマン「正義の哲学」』神谷和宏(朝日文庫)

「他者から他者を守る他者」の物語であるウルトラマンを題材に、異なる価値観との対面について多面的に書かれた本。ギエロン星獣の喉元を今にもアイスラッガーで搔き切ろうとする残酷そうなセブン、という表紙のチョイスが絶妙。

ウルトラマン「正義の哲学」』神谷和宏(朝日文庫

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ウルトラマン論だと、Q~セブンまでを取り上げてその後はあまり触れないことが多いけど、最近のメビウスとか、アニメのザ・ウルトラマンまで網羅されていて、誠実だなと思った。

ウ ルトラセブンは寒さとロボットと女性にめっぽう弱くて、宇宙人が化けた女性に騙され続けていて、なんだかなぁ・・・と思っていたのだけれど、Aの最終話を 題材にしてウルトラマンシリーズが信頼や善意が裏切られることと、「それでも、」と言うことをメッセージとして発しているという指摘があり、セブンの騙さ れやすさも意図的なのかな、、とか思いなおして、キングジョーのエピソードを見直している。

エピソードとしてはメフィラス星人の話しが好き。あとは成田亨のデザインが秀逸だと思うブルトン。あの心臓みたいなキモいデザインと、シュルレアリスムをやや表面的にコミカルに描いたエピソードが好き。