耽典籍
ベッ〇ーのおかげで、前著『はじめての不倫学』が売れてらっしゃるに違いない坂爪真吾さんの新刊。 『性風俗のいびつな現場』坂爪真吾さん(ちくま新書)。 性風俗のいびつな現場 (ちくま新書) 作者: 坂爪真吾 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2016/01/07…
吐き気がする。 小酒部さやかさん並びにマタハラNetを知ったのは、やはり昨年アメリカ国務省の『世界の勇気ある女性賞』がきっかけ。その後、記事やリリースは読んでいたけど、ご本人がマタハラに遭ったときの詳細は、初めて知った。 読んでいて吐きそうにな…
『聞き書 緒方貞子回顧録』(岩波書店)。 聞き書 緒方貞子回顧録 作者: 緒方貞子,野林健,納家政嗣 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2015/09/11 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る コソヴォという地名を知ったのは、ポーランドのノーベ…
2016年の初読み。 菊池桃子さんが、人事・HR領域でこれからどれほどの活躍をされていくのか分からないけど、冷やかしやお飾りの人ではない、と思う。「1億総活躍国民会議(笑)」での発言などもあったし。 どんな経験に基づいて、もっというと、どんな当事者…
2015年私的書籍10。 今年は、遊びが少なかった。 1:『下層化する女性たち 労働と家庭からの排除と貧困』小杉礼子・宮本みち子等(勁草書房) 下層化する女性たち: 労働と家庭からの排除と貧困 作者: 小杉礼子,宮本みち子 出版社/メーカー: 勁草書房 発売日:…
同い年の女優さんが、本についてこんなに繊細でしなやかな文章、匂いのある文章を書いていたのかと、嬉しくなる。 本、とくに物語を読むときは、三つの変化がると思う。 まず、本を読む前の変化。人は、しかるべき何かがあってその本に出合うのだと思う。読…
問う。これは文学か。 答う。2015年ノーベル文学賞受賞者スベトラーナ・アレクシェービッチによる著作である。文学として読んで差し支えない。 再び問う。文学であれば、人間の普遍的なテーマについて物語るもの。チェルノブイリという災厄の下に隠され忘れ…
今年一番読むのに時間がかかった本は、2015年ノーベル経済学賞受賞者アンガス・ディートンの『大脱出』だった。 『大脱出 健康、お金、格差の起源』アンガス・ディートン(みすず書房)。 大脱出――健康、お金、格差の起原 作者: アンガス・ディートン,松本裕…
メロンパンフェスティバルに関わっているおかげで、コンゴについて、アフリカについて学ばせてもらい、考えることも多い。 先日のMTGで、コンゴ出身の有名人って誰かな・・という話題になり、ムルアカさんだ!あの鈴木宗男の秘書の!と話していた矢先の出版…
鄧小平が好き、というと、どういう印象を持たれるのだろうか。 天安門のことがある。最近の日中関係に思うこと、国際情勢下の中国の振舞いに思うこと、観光客に思うことがある人もいるだろう。 でも僕は鄧小平は好き。冷戦の終焉期、中国というコントロール…
クリスマスです。 教皇フランシスコによる説教集。 僕はキリスト教徒ではないけれど、それゆえにローマ教皇が今の世をどう捉え、教徒に向けて、広く社会に向けて、さらに未来に向けて、何を訴えかけているのかを知りたかった。 『教皇フランシスコ いつくし…
歌舞伎町という歓楽街を、周縁とよんでいいものか。 歌舞伎町には欲望が集積した光芒がある。そこからこぼれ出た残光が、さらに周縁の窪地に溜まり澱む。世紀末の新大久保は、その澱みだった。 周縁の、周縁。 花魁のように飾られた風俗やキャバクラがある歌…
「過去のこの日」によれば、3年前の11月11日は当時新刊の『人を動かす2』を読んでいた、、らしい。 「デジタル時代の人間関係の原則」という副題の通り、20世紀初頭の著作である『人を動かす』を現代に改編した二番煎じの本だけど、D.カーネギー協会がそれ…
やはり空海なのか、と思った。 まだ僕には、空海はわからない、とも思った。 『空海』高村薫(新潮社)。 空海 作者: 高村薫 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2015/09/30 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る 司馬遼太郎晩年の著『空海の風…
嫌なことを、わざと書く。 ジャパニーズ・フィリピノ・チルドレン(JFC)に付きまとうのは、いわゆる「じゃぱゆきさん」の子というイメージで、さらに直言するとフィリピンパブのホステスが売春まがいをして出来た子、というイメージではないか。世間の潜在…
元・女子大生風俗嬢は、何人か知り合いにいる。現・女子大生風俗嬢は、誰かいたっけか。女子大生キャバクラ嬢は現&元ともに知人にいる。 『女子大生風俗嬢』中村淳彦(朝日新書)。 女子大生風俗嬢 若者貧困大国・日本のリアル (朝日新書) 作者: 中村淳彦 …
ノーベル文学賞が発表される頃になると、自選「今年読んだ本ランキング」の整理が始まる。結構な冊数を読んでいるし、友人の本もあるので順位付けは迷うが、1位は意外とスコンと決まる。今年はこの本が1位。 「女性活躍推進」は、「女性の貧困化」にアプロー…
EDAYAの山下さんが高杉晋作の小説を読んだそうで、辞世の句に感銘を受けていたが、あの野村望東尼がくっつけた下の句は蛇足の最たるものだと思うのだ。 時代の枠を外し、混沌を生む革命家であった高杉晋作の辞世は、宙ぶらりんに人を投げ出す。下の句はその…
輝く会社のための 女性活躍推進ハンドブック 作者: 清水レナ 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン 発売日: 2015/06/18 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (1件) を見る 「女性活躍」という言葉からは、人により思い描く…
カム・ウソン(韓国のおっさん俳優)が出ているドラマ『恋愛時代』が好き。 『恋愛時代』は自殺した野沢尚の小説で、先ごろ日本でもドラマ化されたが、韓国版のほうがずっとよかった。原作よりもよかった。いろいろなものと折り合いをつけながらも、大切なも…
中学校に入学したとき、剣道部に入部したかった。電話で祖母に話すと、「剣道は危ないからダメ」と言われた。命にかかわるから、絶対ダメと。 剣道部に入部し損ねた僕は、友人の誘いでワンダーフォーゲル部に入った。登山をする部活で、冬山にも登る。遭難も…
まず題名がスゴい。 現在ソマリランド・辺境と、中世室町・江戸の日本の共通項から、なにかを浮かび上がらせる瞠目に値する一冊。 『世界の辺境とハードボイルド室町時代』高野秀行・清水克行(集英社インターナショナル)。 世界の辺境とハードボイルド室町…
ミシェル・ウエルベックは『素粒子』しか読んでない。そして本書の通奏低音となっているユイスマンスは、『さかしま』すら読んだことない。キーとなる『O嬢の物語』は読んだことがあるが、古臭い官能小説だと思った。 フランスにイスラム政権が誕生するスト…
『ありのままの私』安冨歩(ぴあ)。 ありのままの私 作者: 安冨歩 出版社/メーカー: ぴあ 発売日: 2015/07/30 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る いくつかのインタビュー記事を読んで、ちゃんと著書も読みたくなった。「男装をやめた東大教授」…
永青文庫で「春画展」が行われるのに合わせて出版された本ながら、なかなか内容がいい。春画というより、浮世絵がどういう仕組みで作られて流通されていたかや、絵師の特徴について紹介されている。 『春画入門』車浮代(文春新書)。 books.bunshun.jp 版元…
せめて22世紀のことを考えないと、仕事をしていることにはならない。 テレポート、不死、AI、星間交流と、多くのことが当たり前になる中で、人と社会のかかわり方はどう変化していくのだろう。 『nature 科学 真相の知』竹内薫監修(実業之日本社)。 nature…
ゴジラが太平洋戦争で南洋に没した日本兵の亡霊なのだとしたら、モスラは戦争の舞台として踏みにじられた南洋群島の人々の霊なのだろうか。 「ビキニ事件で日本人の被害にしか目を向けないなら、同胞の玉砕・集団自決だけで戦争の悲惨さを語り、島民の犠牲を…
エシカルとかソーシャルデザインとかに関わっていると、読んでて然るべきでしょうと思われるレイチェル・カーソンなんだけど、不勉強ながら『沈黙の春』すら読んでいない・・。ので、アンチョコ代わりに。 『レイチェル・カーソンはこう考えた』多田満(ちく…
2012年に単行本が出たとき、ちょうど早稲女から、早稲女が早稲女として見られることのあれこれについての話を聞かされたので、ネタに買おうかな、、と思ったがパスしていた。 文庫本になったので購入。 『早稲女、女、男』柚木麻子(祥伝社文庫)。 早稲女、…
魂を削らぬものに価値はない、ような気がしていて。 言い換えれば、生命と引き換えのものこそ美しいと思う。芸術でも、仕事でも、人生でも。 しかしこれは、僕が魂や生命を有限のものと捉えている証左だろうか。無限であれば削れないはずだ。 魂や生命を有限…