影響を受けた本を聞かれ・・

誰よりも僕の秘密を知る女性がおり、彼女と四方山話をするなかで影響を受けた本は?と聞かれて、ふと出てきた3冊。

 

・『高杉晋作―幕末をかけぬけた男 』(講談社 火の鳥伝記文庫):小学校 

・『哀愁の町に霧が降るのだ』椎名誠 (新潮文庫):中学校

・『富士』 武田泰淳(中公文庫):高校

 

高杉晋作の自伝は小3くらいで読んだ。初めて、買ってもらうのではなく自分で本屋に行き、選び買った本。

 

並みいる偉人がいるなかで、なぜ小学生にとってはマイナーな高杉晋作を「これだ!」と思って選んだのか、よくわからない。知行合一なところ、人や国をへだてぬところが気に入り、辞世の句に感じ入ったことを憶えている。

 

中学に入りワンダーフォーゲル部に属してから読んだ『哀愁の町に霧が降るのだ』では、大仰にいえばマネジメントを学んだ(一応、僕はワンダーフォーゲル部という体育会系の部長だった)。将来イラストレーターや弁護士という偉才になる仲間たちと、その多彩さを活かしながら過ごす愚かな日々の話しは、きっとダイバーシティインクルージョンのヒントになった・・んじゃないかな。こじつけだけど。

 

 

 

そして『富士』。ちょうど埴谷雄高『死霊』が完結するという文学的事件があり、戦後文学を読み漁っていたなかで、いちばん武田泰淳に惹かれた。逆説・矛盾が武田泰淳の論理の筋を成していると思い、全否定こそ全肯定というような思考法はしっくりくる。

 

ものすごく本は読んでいたし、影響を受けた本ももっとあるはず。でも今日ふりかえって出てきたのは上記で、まあ偽りないと思う。

 

ちなみに好きな本は影響を受けた本とちょっとニュアンスが異なる。高校までに読んだ本の中には、いまだに好きな本と問われれば真っ先に挙げるヴィスワヴァ・シンボルスカ『終わりと始まり』が含まれる。

 

追加で。あと影響を受けた本(のシリーズ)をもう1つ挙げると、『赤塚不二夫のまんが古典入門』で、古事記とかは好きで何度も読んだ。要は古典のダイジェスト版なんだけど、赤塚不二夫の剽げた漫画(光源氏がイヤミだったり・・)とともに解説のクオリティは高くって良書だったと思う。また読みたい。。

 

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