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ニートな日からの10年。『俺たちの仮面ライダーシリーズ 電王 10th ANNIVERSARY』

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仮面ライダー電王が10周年ということでムックが出ており、つい買ってしまった。

 

10年前は人生のどん底で、世間から逃避したニートからようやくコンビニのにーちゃんのフリーターへ社会復帰しだした頃だった。

 

毎週日曜日の朝は、朝食を買ってつきあっていた女の子のマンションに行き、彼女のベッドにもぐりこんで電王を見た後、テレ東のアニメ『おねがいマイメロディ』を見ていた。そして彼女が化粧をするのを眺めて、一緒に駅までいって出勤する彼女を見送って、そのままぶらぶらと秋葉原まで2時間くらいかけて歩いて、まだ猥雑ににぎわっていた歩行者天国を見て、またぶらぶらと歩いて帰宅していた。

 

まったく先の見えない野良犬のような暮らしだったけど、そこここに小さな幸せはある日々で、もう戻ることはないけど懐かしくはある。

 

仮面ライダー電王に出てくるゼロノスという2号ライダーがことのほか好き。極めて悲惨なライダーで、他のライダーシリーズをあわせても最も好きだったりする。

 

変身することで自分を知ってくれている人の記憶を消費してしまい、やがて誰にも憶えていてもらえなくなって存在が消えるという設定がまず悲惨で良い。さらにゼロノスは2人おり、大人のゼロノスは愛する妻と子と世界を守るため一人戦うものの敗れ力尽き、過去にとんで(電王はタイムパラドクスもの)若い自分に無理やり仮面ライダーとしての役割を担わせる。いくら自分自身だからといって、何も知らないかつての自分にそんな重荷を背負わせるのはずいぶん乱暴だなぁと思う。

 

物語に出てくるゼロノスは主にこちらの少年のゼロノスなのだけれど、いきなり未来の自分があらわれて世界が云々と意識高い系の話しをされて、自分の存在を消費しながら戦えといわれて、請け負ってしまえるのかどうか、実に不思議だった。そして引き受けてしまった故の悲惨がまた良かった。

 

電王を見ていたときの自分は世間からの逃避の真っただ中で、数年前までは世の中に対して大志も抱き、何かを成したいともがいていたけど、結局は力至らず大学も中退し、なにもしない人として生きていたので、ゼロノスの足掻きがなんとも心に響いた。

 

幸いなことに僕はそこから立ち直り、仕事をしながらもう一度世の中について何か働きかけようとし続けられるようになっていて、10年前とはまた違った気持ちでゼロノスのストーリーを見るのだけれど、仮面ライダーでも社会活動家でも、刀折れ矢尽きるとも一時ひきこもろうとも、しつこくやり続けることは大事だよねとは思う。

 

というか、やり続けてしまう人、やり続けてしまわざるを得ない人というのがおり、そういう人が本物なんじゃないかと思う。まあ仮面ライダーと社会活動家は別だけどね、当たり前ながら。

 

ムックは、まあ別に・・な内容で、怪人のデザイン解説とかは少し面白かった。ヒロインが消えるという電王で一番の謎については、ざっと読んだけど触れていない・・。