メコンブルーとシュポール/シュルファス

昔つきあった女の子は、テキスタイルを学ぶ美大生だった。

 

つきあいはじめの頃、東京都現代美術館でひらかれた『シュポール/シュルファス展』(正式名『ポンピドゥー・コレクションによるシュポール/シュルファスの時代 : ニース〜パリ 絵画の革命 1966〜1979』)を見に行った。60~70年代芸術運動の回顧展。

 

その中に、大きなテキスタイル数枚を天井から吊るした作品があった。布地に、間隔をあけながら多色の横縞が走っている。作品名は「Penelope(ペーネロペー)」とあった。

 

僕はこの作品に圧倒された。

 

現代文学を学ぶ文学徒だった僕は、作品がなぜ「ペーネロペー」なのかすぐにわかった。ペーネロペーは『オデュッセイア』 に出てくる、オデュッセウスの妻。オデュッセウスが彷徨の旅を続ける間、幾日夜の時を過ごし、数多の男たちの求婚を退け、織物を織っては解いて夫を待ち続けたペーネロペーの時間そのものが、作品になっていた。

 

天井から吊るされたテキスタイルは、時のしじまに見るものを押し流していきそうで、無言で立ちすくむしかなかった。

 

オデュッセイア』を読んだことのない彼女は、作り手の視点で「これ何の糸かな?どうやって染めたのかな?」と話していた。僕はペーネロペーの時間に流されてしまわないように彼女の手を握り、「・・テキスタイルって凄いね。」と言った。

 

 

テキスタイルは凄い。布一枚が物語をもつ。そんなテキスタイルを造形として、身にまとうのがファッションである。ゆえにファッションは面白い。

 

メコンブルーの話。

f:id:tetsuji178:20161013003651j:plain

 

メコンブルーのシルクストールほど、雄弁なテキスタイルの凄さを楽しめる商品はない。(いや実際には他にもあるけど、メコンブルーはトップブランドに比肩している。)

 

その雄弁さは、読み書きができないカンボジア農村部の女性たちが、チャンタさんという方を中心に最高級の美しいシルクストールを織るという背景によるものではない。もちろん、いわゆるエシカルファッション的な背景のストーリーも素晴らしいけど、雄弁なのはテキスタイルそのもの。

 

ブランド名の通り、メコン川の折々を想起させる青、蒼、碧、藍、紫、灰、墨・・。川の周りの木々や陽光、土や空気を感じる色たち。メコンブルーのシルクストールにも、時のしじまが織り込まれ、加えて自然の移ろいが染められている。

 

圧巻なのは、Jazzと名付けられた茜色の一枚で、メコン川の水面に映りたゆたう夕陽の色を織り込んでいて、見るたびにため息をついてしまう。

http://mekongblue.shop-pro.jp/?pid=79408839

 

そんなメコンブルーさんと僕の関わるEDAYAは、1年くらい同じ建物にオフィスを置いていたのだ。(というかメコンブルーさんが入居していた建物にEDAYAも入って、先に出た。)代表の高橋邦之さんも、その他のプロボノの皆さんも、楽しい&心強い仲間たちだと思っている。

 

なんだか高橋さんがバタバタされて、「この冬はメコンブルーのシルクストールを買って、おしゃれに過ごそう」キャンペーンみたいな感じになっているので、すかさず懐かしのオフィスに駆けつけて、僕も1枚買ってきた。

 

水面みたい、と感じる翳をもつ青でありながら、角度を変えると紅が透けるKhmer Flower Ruby。首に巻いて、多彩な色移りを見ながら、これはどんな時の水面なんだろうと思いはせるのが楽しい。テキスタイルって凄いなぁ、、と改めて思う。

http://mekongblue.shop-pro.jp/?pid=90869902

 

と、いうわけで大好きなメコンブルーさん、高橋さんの応援のための宣伝なのですが、販売サイトを見てこれほしいと思った方、商品を見てみたい(見ると凄さはわかる)と思った方など、ECでの決済ではなく直接高橋さんにご連絡ください(で、いいんでしょうか?)。 

 

 この冬は、身近な人がみんなメコンブルーのストールしているようになる気が・・する。

mekongblue.shop-pro.jp