耽典籍:育休世代マッチョ系女子を人的資源として活用できるのはどこか。『「育休世代」のジレンマ 女性活用はなぜ失敗するのか?』中野円佳(光文社新書)

 Warisの田中美和さんが主催陣となり、中野円佳さんがご講演・モデレータなら行かないと、と「独立して見つけた私らしいベストバランス」というイベントを聞いてきました。

中野さんの、『「育休世代」のジレンマ』刊行から役1年、さらに進んだ考察をうかがえたのですが、ふと思ったことが。

 

マッチョ系女子、というかバリバリ能力を発揮できる職場環境に身を置く優秀な女性ほど、出産・育児を挟んでしまうと元のステージに戻りにくいことにストレスを感じて、ジレンマに陥る、という現象が「育休世代」のジレンマなのだろうけど、ここの層、ビジネスセクターじゃなくてソーシャルセクターで吸収できないかな。

 

僕はビジネスセクターとソーシャルセクターを股にかけて仕事をしているけど、ソーシャルセクター側はいつも人手不足で、特にビジネス経験・センスを持った人材が欲しい。

高くはないけど給与は出せるし、勤務時間はフレキシブルに対応しやすい。「育休世代」のジレンマに陥ったマッチョ系女子が子連れでソーシャルセクターに参画して牽引してくれたら、いろんなアクセルがぐんぐん加速しそうな気がした。。

育休世代のマッチョ系女子を人的資源として上手く活用できるのは、NPOやソーシャルビジネスかもしれない。

 

いい実例、身近にいないかな。。

 

そんなことを考えながら、へぇっという実体験談を聞けて考えるヒントの多いイベントでした。

 

ちなみに、『「育休世代」のジレンマ』の感想も昨年どっかに書いたな、と思い、サルベージしてみた。

「育休世代」のジレンマ 女性活用はなぜ失敗するのか? (光文社新書)

「育休世代」のジレンマ 女性活用はなぜ失敗するのか? (光文社新書)

 

【2014/9/25】

 

「産休が明けて出社したらすぐ年子を妊娠しちゃって、どうしましょう・・?」という問いに、どうしましょうねぇ・・と詰まってしまった日に、タイミングよく出た本。

 

『「育休世代」のジレンマ 女性活用はなぜ失敗するのか?』中野円佳(光文社新書)。

 

育休世代とは育休などの制度が整った後に社会人となった世代を指し、だいたい30代くらいと自分にも近くて実感が伴う。
女性の就労の「量」ではなく、「質」が問題となる世代。

 

高学歴層の女性達のキャリアをインタビュー調査して、各項目毎に比較検証して浮かび上がるものをとらえている本で、例えば幼少時のジェンダー意識がその後の就労スタイルにどのような関連があるのかとかは、かなり面白かった。

 

ジェンダーを特に意識せず育った方がマッチョ志向になり、壁にぶつかった挙句にかえって結婚・出産・退職というジェンダー的ルートに乗りがち、、など、なるほどと思った。
それを受けて、今後の教育は従来のジェンダー型に巻き戻されるかも、、という著者の考察もなるほど、と。。
こういった話が、『ハウスワイフ2.0』なんかとリンクしていくんだろうか?

 

気になるのは、男の影が薄い・・というか、期待されていない。
夫の育児参加よりは職場環境のほうが大事、なようだし、「同質婚」のせいで忙しい職場の女性の夫も忙しい職場だったりするし(これは人材の仕事をしていて本当だなと思う。)。。

 

面白かったのは、自身の「性的魅力」の確認としていわゆる「仕事ができる男性」を結婚相手とするが、そうするとそんな男性は家事育児に割く時間的資源は持っていないというジレンマの解説で、、ATM化ですかね。