耽典籍:彫師の技術が生産の鍵を握る、浮世絵という製品について。『春画入門』車浮代(文春新書)

永青文庫で「春画展」が行われるのに合わせて出版された本ながら、なかなか内容がいい。春画というより、浮世絵がどういう仕組みで作られて流通されていたかや、絵師の特徴について紹介されている。

 

春画入門』車浮代(文春新書)。

books.bunshun.jp

 

版元がいて、その下に絵師、彫師、摺師がいる職務分類は興味深かった。彫師が一番偉かったらしい。毛の一本一本を彫り分けられるほどの技量になるには、相当な手先も修行も必要になるので、優秀な彫師は制作を左右できるほど立場が強かった、みたい。

摺師は、再販がつづけば下手な摺りでもなんとかなってしまうし、絵師は才能次第でパッと出てパッと消えてしまう。。

何かそれぞれで、面白いなぁ、、。

 

研鑽をつんだ技術が評価されて、生産の鍵を握るというしくみは、無形の価値への敬意があり、フェアトレードだなぁと感じた。工芸家・職人を匠として敬えるのは、日本文化の良い点だと思う。

 

しかしながら、春画は描かれている人が服を着ているのでどんな人物が題材か分かります、と書かれているが、なんでまた服着たままコトに及んでいるのだろう・・・。コスプレ好きなのか?江戸時代人。。

 

 永青文庫春画展は、開催までいろいろ苦労があったらしい。連休中に行ってみようかと。

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