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耽典籍:不倫は職場環境の問題~ポリアモリーまで。『はじめての不倫学 「社会問題」として考える』坂爪真吾さん(光文社新書)

耽典籍

坂爪真吾さんは、やっぱり恐ろしい人だと思った。いやむしろ、悪い人、というべきか(褒めてます。。)。

 

『はじめての不倫学 「社会問題」として考える』坂爪真吾さん(光文社新書)。

はじめての不倫学 「社会問題」として考える (光文社新書)

はじめての不倫学 「社会問題」として考える (光文社新書)

 

 

書名を聞いたとき、「え?不倫?」と目が点になった。

周囲の人に「不倫学って本が出たよ」と話しても、「不倫?(ニヤニヤ)」「浮気?(ニヤニヤ)」「人妻風俗?(ニヤニヤ)」みたいな反応をされる。実はこのニヤニヤを炙り出すこと、そしてそこに切り込むことが、坂爪さんの狙い、というか本懐なんじゃないかな。

 

考えてみれば、ニヤニヤしてやり過ごしてしまう問題って多い。障がい者の性とか、男子の性自認とか、性が絡むと特に。そこに何か考えて対処すべきコトがあっても、人はニヤニヤして、見ないフリして通り過ぎる。

でも坂爪さんは、ニヤニヤをやり過ごさず見据えて、プレーヤーとして切り込んでいく。本当、恐ろしい人だし、パンドラの箱を開ける悪い人(再度、褒めてます。)

 

で、不倫。

たしかに不倫は社会問題ですよね。会社、社会人としての立場も崩れるし、家庭も壊れるし、宗教・文化観も左右するし、相続とかの法律もからむし、そして次の世代へも影響がつながる。そして大統領もCEOも上手く対処できないし。。

 

僕も、不倫で会社を追われて離婚して貧困状態に陥った人を知ってます。あと、かなり身近に不倫中の人がいて、夜中に電話かけてこられてしょ~もない話を聞かされて寝不足になったこともある。。。

でも、不倫について立ちどまって考えたことはなかった。

 

「不倫防止において重要なのは、まず職場環境の整備である」という一文に、ビックリして総入れ歯になりそうだった。僕はワークスタイルとか人事とか、要は職場環境に関わる仕事が本業だけど、まさか不倫は本業の範疇とは!

 

でもそうですよね。職場の人間関係の問題なので、不倫は人事・組織の問題ですよね。。目鱗。

 

しかしこの本(特に前半)は膨大な学識に裏打ちされているようで、視点を変えながらいろんな読み方ができる。宗教、文化人類学、心理学、生物学、歴史学、法律、風俗産業さらにメディア、SNS等情報ツール・・多角的なものが盛り込まれていて、頭がクラクラするほど。とても示唆に富み面白く、これだけの情報量を整理して盛り込めた著者と編集者の人はスゴい・・・。

 

興味深いネタは沢山なんだけど、その中でもアメリカのキリスト教的告白文化の中での不倫の取り扱いについてとか、鳥も浮気の子が多い(!)とか、異性関係の分散・多角化とか、社会問題に切り込むのは昔は文学者、ちょっと前は社会学者で今はNPOなどソーシャルセクターという話など、壮絶に面白く、それだけでご飯が何杯かいけそう。

ここら辺は、ぜひ本を購入して読んでください。

 

さて、坂爪さんとかこの本の終盤ででてくるポリアモリーの会「ポリーラウンジ」でご一緒しました。ポリアモリーについては、「希望としてのポリアモリー」として一章裂かれているし、より詳しくは『ポリアモリー 複数の愛を生きる』深海菊絵さん(平凡社新書)へ。

ポリアモリー 複数の愛を生きる (平凡社新書)

ポリアモリー 複数の愛を生きる (平凡社新書)

 

 

僕が徒然に思っているのは、人は(生き物は)もともとポリアモリーなんだろうということ。一夫一妻があって、その対応策としてポリアモリーがあるわけではない。もとはポリアモリーだったけど、便宜上(嫉妬心のコントロールとかのため)1対1対応の恋愛の方が勝手がよくなり、そこに家制度という縛りと洗脳がかかったんじゃないかな。

 

ポリアモリーは、制度という枠にのっかって低コストで維持してきた人間関係を見直して、枠から外れても高コスト(人付き合いエネルギー的に)になっても、丁寧に人と関わることなのかな、と思う。

いゃ、そんな偉そうなもんじゃないよ、、と実践してる人に言われちゃいそうだけど。。

 

LGBTとポリアモリーの列記もされている。LGBTも「より生きやすい選択を続ける≒エシカル」なことだと思うけど、ポリアモリーも同じ。「より生きやすい選択を続ける≒エシカル」だと思う。

社会の枠を外すという点では、もしかするとLGBTよりもポリアモリーの方が難易度が高いんじゃないかな、、とも思うので、それだからこそ「希望としてのポリアモリー」だと思う。ポリアモリーという人間関係の構築の仕方がより受け入れられれば、社会の選択肢はもっと広がるだろう。

 

とかとか、多種多様なことを考えられるスゴい本ですね。。