耽典籍:21世紀の『復興期の精神』か。『紋切型社会』武田砂鉄(朝日出版社)
花田清輝『復興期の精神』をぽつりぽつりと読んでいるが、それに近い諧謔と批評の刃を感じた。
『紋切型社会』武田砂鉄(朝日出版社)
書名の元ネタはフロベール『紋切型辞典』か。
社会に敷衍する紋切型な、思考を停止させて真綿のように同調を強いてくる言葉や言い回しを、列挙して腑分けして巧妙に仕掛けられたナニモノカに肉薄しようとしている。
最初の数章は、キレ味いいちゃぶ台返しみたいな時評だなと思ったけど、、、読み進めていくうちに社会の深いところまで切り込むジャーナリズムが顕われてきて、侮れない本。
紋切型の同調の外にはじき出されてしまう人々にニュートラルに寄り添う姿勢が一貫していて、共感し学びになる。
18章「そうは言っても男は」など、常々考えている男性の旧態依然による隘路をレトリックたっぷりに描いていて、注意深く読み返さないといけないな、と思った。
著者はどういう人なんだろう。話を聞いてみたいなぁ。。