耽典籍 :「開放性」の確保はフェアトレードの鍵としてだけではなく 『フェアトレードの人類学』箕曲在弘

箕曲在弘先生はかっこいい。


かつ、僕に「エシカル」という言葉を教えてくれたのが、ラオスフェアトレードコーヒーを扱う学生団体FairTrade Drippack Projectのみんなだということを考えると、そのドリプロの先生である箕曲先生はある種の恩人ともいえる。
そんな先生の、気合の入った本。

 

フェアトレードの人類学』箕曲在弘(めこん)

f:id:tetsuji178:20150315003841j:plain

 

大著であり、先生は実践者としてラオスの農村や卸の現場にも入り込んで、その実際を複眼的に克明に記しているので、まあ正直言って読むの大変です。。(僕自身まだ読み切れてません)。

 

が、ミステリー小説のようにしっかりと読んでいけば、市場の構造とか、生産や流通が変わることが誰にどのように変化を及ぼすか、等々に興味がある人にはものすごく面白いし役立つと思う。

 

そこまで腰据えて読めないよって人でも、「第一部第一章 フェアトレード運動とは何か」で包括的にフェアトレードの歴史と現状を学ぶことはおすすめしたい。とても勉強になった。

 

そして何より、「終章 結論と総括」は感動的。
「フェア」を「対等な」という意味とすること。そして「開放性」を最も重要とすることは、「ああ、箕曲先生もそういう風に考えているんだな」と思って嬉しかった。

 

許可なく引用してしまうけど「フェアトレードの現場には、あらゆる情報が市民に公開されており、何か問題があればそれを明るみに出し、当事者同士で解決していく環境を確保していくことが求められる。」という一文はとても重要と思う。

 

これは商品の生産・流通に関することのみではなく、僕が主戦場にしている雇用やキャリアに関することでも、もしかすると政治や行政についてでも、これからもっともっとキモになる考えだと。

多くの人が、この本からいろんな学びを得てくれればいいなと思います。素敵な本です。