「紅い木のうた」Eri Liao Trio
台湾原住民タイヤル族出身で東大からコロンビア大学院に行き中退して帰国後ジャズシンガーとして活動中という、僕の同級生らしい謎キャリアのEri Liao(エリ リャオ)。
ついに、彼女のトリオのCD「紅い木のうた」(https://eriliao.jimdo.com/cd/)が発売されるので記念ライブへ。CD発売、本当に嬉しくて誇らしくて待ち遠しかった。
他の同級生とも顔を合わせる機会になって、嬉しい。
ライブは、なんかスゴかった。表現力が深まった・・というより独自の表現を確立しつつあるような。。日本語、英語、中国語だけでなくアミ語、プユマ語という台湾現地語もごちゃ混ぜにしながら(というかそっちを主軸にしながら)あらゆる歌とメロディーが奏でられるので、なんというか、なんだこりゃという不可思議なパワーのあるステージだった。
思ったのが、もうこの人ジャズシンガーじゃないな、と(いい意味で)。
ジャズの歌を瀟洒に歌うような表現の幅はとうに超えちゃってる。かといって民族音楽の歌い手でもない。台湾の部族の歌をたくさん歌っていても、過去の音楽としてではなく今の音楽として歌っているようだから。
声と音を通してなにかを表現していて、その届け方として様々な言語の歌という形があるのかな、と感じた。
ベースの小牧さんとギターのファルコンさんとのトリオは2015年8月からだそうだけど、結成しばらくの時に広尾であったライブに僕は行っている。その時は台湾部族の歌はあったかなかったかくらい。お洒落なジャズ中心で、曲のストーリーテリングがとても巧みだけど圧倒的なオリジナリティというのはまだないジャズシンガーだったと思う、いま思い返せば。
それが2年経って、こんなに唯一無二な表現性をもった歌い手になるなんて、ほんとすごい。
たぶんこの独自性は確立されたばかりくらいで、これからより磨かれたり深まったりするんだろうなと思うと、ますます楽しみです。というか、すごいなぁ、負けてられないなぁ・・と励まされた。
ライブ、ばりばりにギターを弾いてたファルコンさんも、飄々と見せ場を担っていた小牧さんもかっこよかったです。また行きます。CD(https://eriliao.jimdo.com/cd/)も宣伝します。
しかし、僕の周りにはこういう何とも定義しがたい出自やキャリアや表現や活動をしている人がやたら多いな・・とつくづく。
耽典籍:読み書き企て夏休み。『チーズ・イン・コーベ』最果タヒ(Sunborn)
今日から夏休み。
最果タヒ『チーズ・イン・コーベ』は夏休みを前にした大学生が、周りとのズレを抱えるちょっと困った同級生と、実家の神戸に一緒に行くことをついつい約束してしまう会話をえがく散文。異物であることを悪びれず引き受ける同級生の少しの寂しさと、満載のやれやれ感を少し楽しむ主人公のゆらぎ合いが優しく可笑しい。
夏休み、長駆の旅行計画を立てたけど体調不安がありキャンセル。都内を風来しながら、読み書き企てに費やす日々に変更。
何かお話しがある人はお声がけください。あと19日は誕生日なのでお祝いしたい人もお声がけください。
『チーズ・イン・コーベ』最果タヒ(Sunborn)。前半は日本語で、逆からは英語で同じ物語が書かれて、写真もたくさんの変わった本。
Chérie COCO 川口莉穂さんとの対談イベントを終えて(後編:川口莉穂さんのこと)
承前
というわけで、川口莉穂さんのこと。
自分の振り返りとして、今回の対談イベントはぎりぎり平均点だった。それは僕が病み上がりで頭が冴えていなかったからではなく、川口さんの面白みを伝えるのは1時間という時間では難しかったから。それだけの深みやネタを持っている人だなと、対談している途中で痛感した。痛感したときには既に遅くて普通にいって1時間半、出来れば2時間欲しいペースになっていたので、すっごく聞きたいことをみんな切り落として必要事項だけ聞いて10分オーバーに収めた。無念。
僕の感じた川口莉穂さんの面白み(あえていえば、人間力ポイント)は、大きく分けて下記3つかなと思う。
1:気位の高さ(いい意味でね)
我やプライドや芯の強さともいえるかもしれない。クラス感を持ち、つまらぬ物なら思い切って要らないといえる気風の良さがあるなと思った。いい物、上質を知っている人なのかな、と。
大学を卒業後、JICAに就職できないとなると適当な企業にもぐりこむような選択肢をばっさり捨ててタイ料理屋でバイトしてたり(しかもそのタイ料理屋も大使がらみのいいお店だったり)。シェリーココで浴衣を作っても、とりあえず布を直線で縫って切り貼りしたものではなく、ちゃんと和裁のアドバイスをもらって衿芯の穴(?)などもあるしっかりしたクオリティの商品を早期から出していたり。
ご家庭の環境からか、いい物や人を見ていて自分もそれに相応しくあろうとしているのかな、と感じた。悪くすると癇が強いのかもしれないけど。。
2:自負心・責任感
まだ若い女性なのに、ベナンの工場で働く人たちとその家族の生活を自分が背負っているんだ、それを守らないと、みたいなことを話してくれて、あぁこの人は間違いなく経営者なんだなと思った。というか『男はつらいよ』のタコ社長か何かかと思った。
そのために社長として自分が現場に立つし、モデルだって広告塔だってやるという気概はひしひしと感じる。商品開発のことも常に考えているようだし。
エシカルとかソーシャルビジネスとか関係なく、言ってしまえば町工場を経営する零細企業の社長さんなのだけど、話していてそのリアリティを濃く感じさせてくれる人は意外と少ないので面白かったし、きっと経営者として成長していくのだろうなと思った。
3:プランドハプンスタンス(計画的偶発性)の申し子
僕的にはここが一番面白いというか、多くの人にとってキャリアの参考になると思う。ボストンにでも留学しようと思ったら何故かタイの名も知らぬ土地に留学してしまう(偶発その1)ことになったこと。でもそこで自身のテーマを見つけて、大学でも関連する勉強をしてタイ料理屋でバイトしてタイ語も身に着けていたのに、海外協力隊では聞いたこともないアフリカのベナンに派遣される(偶発その2)ことになったこと。でもそこで自分の事業を起こしてしまうこと。
大きな2度の偶発があり、大抵の人はそこでえーっとなって萎えてしまいかねないのだけれど、川口さんは人生の大きな推進力を得ている。これはキャリアの観点からかなり面白い。そういう星の下の生まれなのかね?
話しを聞いていても、タイやベナンに行くことになった瞬間の驚きや失望はあまり伝わってこなかったので、そもそもそういう感情をあまり持たないタイプなのかもしれない。ここら辺は、直接もっと聞いてみたい。
とにかく、偶発を天運に変える資質というのは物凄い。
そんな3項目なのだけれど、これは僕が1時間強対談イベントをして感じたことなので、もう笑止千万なくらいに間違っているのかもしれない。単に、僕の感じたことなので、事実とは異なりますと、念のため。
ただほんとに、もっと聞きたいことあったなぁ、時間配分失敗したなぁ、という思いでいっぱいなので、そのうちまた再戦、ではなく再対談ができたらなぁと切に思います。ベナンのマラリア教育の話しとか、すごーーく突っ込みたかったけど捨ててしまったので。。
そんな人間的魅力たっぷりな川口さんのブランド CherieCOCOさんの浴衣・小物は29日(土)まではエシカルペイフォワード店舗で販売しています。僕もつい浴衣を買ってしまいました。
その後も、各所で販売があると思うのでぜひ商品を見て購入してください。(宣伝)
Chérie COCO 川口莉穂さんとの対談イベントを終えて(前編:対談という形式について)
昨日、アフリカ・ベナンの浴衣・小物ブランド「Chérie COCO(シェリーココ)」代表の川口莉穂さんと対談イベントを行ったのだけど、終わってからじわじわと「川口さんという方は面白いなぁ・・」という思いが強まってきたので、感想メモを書いてみる。
まず、今年になって僕は対談イベントばかりやっているけど、これは対談というよりインタビューみたいなもので、「徹子の部屋」方式と呼んでいる。現在の活動を軽く紹介していただいた後に、過去の生い立ちや活動にいたる経緯を聞いて、現在を越えてこれからの展開に至る。Uの谷をイメージして話しを聞いているのだけど、根底には5年くらい前にU理論の中土井さんがパタゴニアで催していたダイアローグUというイベントの記憶があり、それには遠く及ばないけどエッセンスの一部を参照できたらなと思っている。
いい点は、準備がいらない。登壇者もプレゼンを用意したり何を話そうと考えたるする必要がない。悪い点は、準備ができない。その人からどんな言葉や一面がこぼれ出るかわからないので、大枠の組み立てや聞いとかなければいけないポイントは抑えるが、あとは出たとこ勝負。そして、気が抜けない。あ、ここもしかしてUの谷につながる部分かも、という要素を見逃さないように頭をクリアにして話しを聞きつづけないといけない。さらに、タイムマネジメントが難しい。話しがどう流れるかわからないので。
なので、こういう対談イベントばかりをやっているとアドリブだとかぶっつけだとか誉められてるのかdisられてるのかわからない言われ方をされるけど、そして実際そうだけど、でもちゃんと事前の積み上げはあるのだ。
人の話しを聞くという長年&日々の実践があるし、こんな話しを聞いてみたいなぁという自分なりの興味関心は持つ。ただ、登壇者はこんな人かなという仮説とか、こういう風に話しをもっていこうとかいう台本はもたない。無心に、空に。
その無心を作るのが一番大事かなと思ってやっている。登壇者も無心で来てもらうために、大枠の流れは伝えても事前の質問項目などはなし。当然、資料などの準備もなし。さらにトークの早い段階で虚を突いたり困ったりする質問をして、頭のブロックを外してもらえればより良い。
そんな状況で、ご自身の生い立ちから活動までの経緯などを話してもらいつつその先にあるビジョンについて伝えてもらうのは、結構大変なのかもしれない。さらに、浅い人生、薄いビジョンしか持っていない人であれば、あっという間に話しが終わってしまう。逆に、深みのある人であれば驚くような気づきがあって、もっといろいろ聞きたくて、時間が足りないけどすごくいいイベントできたなと自賛したくなるようなこともある。
だからかなり賭けの割合が大きいやり方なのだけど、ゆえに価値があると思う。
対談イベントをやり続けてソクラテス流産婆術にまで至れればいいのだけれど、とにかく思うのは黒柳徹子はすごいなぁ・・ということだったり。。
(長くなったので、川口さんについては後編へ続く・・・)
ホモ デウス(Homo Deus)はTechの夢をみるか? Ethicの夢をみるか?
『サピエンス全史』で話題のユヴァル・ノア・ハラリ教授の新刊『ホモデウス(Homo Deus)』のDVDを見て、これからはTechとEthicの距離がずーっと縮まっていくんだろうなと思った。
新刊をテーマにした講演を収録したもので、『ホモデウス』のエッセンスが1時間半につまっている(のだと思う。だって新刊まだ翻訳でておらず読んでないから。)。
『サピエンス全史』とはまた違った刺激があるけど、ネタバレになるので省略。ただ印象的なのは、Googleが今は生物学者を雇っているが、やがて哲学者を雇うのでは、といった視点。
AIのような技術がより敷衍すれば、比較不能な価値の迷路をたぐる哲学をどう持てるかが、人と機械、人と自然、そして人と人との差異をより決定づける。その人の哲学がより重要となる。
その時、TechnologyとEthicsは溶け合うように近接化していくのだろう。
ファッションなどの文脈でいうエシカルよりも、もっと元の意味に近いEthical(倫理)に目が向けられることになり、それが人の暮らしの端々に深くかかわってくるんじゃなかろうか。
猫も杓子も、近年は何とかの一つ覚えのようにTechと唱える。〇〇Techという妖怪が巷間を徘徊している。でもしばらくすれば、この〇〇Techはすべてオセロゲームの黒白のように〇〇Ethicに変わっていくかもしれない。
FinTech→FinEthic (エシカル金融とか、広まりつつあるよね)
EdTech→EdEthic (これは何だろう、イエナプランとか反転授業とか?)
HRTech→HREthic (エシカル人事はココ!)
AgriTech→AgriEthic (単なる有機農法とかとは違うはず)
FoodTech→FoodEthic (フードロスとかサルベージパーティーとか?)
MedTech→MedEthic (かなり広がりありそう)
こんな〇〇Ethicという妖怪がウォッチされまくる時代が、もうすぐ来る。
それを予期して、〇〇Ethicを切り拓いている人を集めてカンファレンス的なことやりたいな。上手く男性ばかりなら、エシカル男子の会の発展形として。。
ということを、セクシー知的ハゲのユヴァル教授のDVDを眺めつつ思う。。『ホモデウス(Homo Deus)』翻訳出版楽しみ。
ホモ・デウスDVD BOOK ~全世界でベストセラー『サピエンス全史』の著者ユヴァル・ノア・ハラリ最新作 (宝島社DVD BOOKシリーズ)
- 作者: ユヴァル・ノア・ハラリ
- 出版社/メーカー: 宝島社
- 発売日: 2017/06/17
- メディア: 大型本
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はぐくみあうこと
Facebookの「過去のこの日」によれば4年前、2013年6月22日は「食文化シリーズ第2弾!~マレーシア料理から学ぶ「ハラル食」~」というイベントを開催していた。
管理栄養士のみんなと各国の料理を食べながらその文化に詳しい人の話しを聞くという、連続ものの異文化交流&食育イベント。マレーシア料理屋でひらいたこの会に遅刻してきたお役人が、柚木理雄さんだった。
柚木さんとの友達記念日4周年というわけですけど、この4年、SOIFがありエシカルペイフォワードがあり、柚木さんはLittleJapanに至り、僕はEDAYAに腐心しエシカル男子の会をやりハイブリッドキャリアでTEDxに出てなど・・・なんだかいろいろありました。
さらに。
「過去のこの日」によれば2013年6月21日夏至の夜にHASUNA本店でキャンドルナイトがあり、僕はそれに行ってブローチを買っている。この時、店長をやっていた村松絵美さんと初めて会った(はず)。
今ではエシカルについて相談しあったり、島根までファッションショーに行ったり、SOIFを一緒に運営している村松さんとも、友達記念日4周年というわけです。2013年に会ったときは遠慮がちに挨拶くらいしかしなかったけどね。
村松さんもこの4年、いろいろあったろうなと思う。
それぞれ、紆余曲折があっても自分の持ち場で少しずつ歩み続けている。切磋琢磨しながら。そんな実感がある。
4年前に買ったブローチの名前は、「hagukumi(はぐくみ)」という。はぐくむとは、大人や先輩が子供や後進を育てるという意味合いにとられるけど、それだけではない。横に並びあうものが、お互いにお互いをはぐくみあうこともある。
柚木さんとも村松さんとも、はぐくみあってきたなと思う。し、これからもそうだと思う。
社会に向けた活動は、時間がかかる。というかそもそもゴールや終わりがない。全貌も見えないし正解もない。だから続けること、自分の持ち場で一隅を照らし続けることが何より大事。
そのとき、信じられる仲間をはぐくむこと、お互いにはぐくみあえることができたなら、とても幸せだと思う。
なんて、2013年6月を思いおこしながら徒然に。
何度か言っているけど、4年前に知り合ったときは2人とこんなに親しくなると思わなかったよ。村松さんとは、島根のエシカルファッションショーで撮った写真がカップルっぽいって取り沙汰されるしさ。
そういうのが、人生の面白みなんだろうねと、「hagukumi(はぐくみ)」のブローチに話しかけてみる。